「宅建は、スマホのアプリだけで合格できるのか」――結論から言うと、アプリ中心でも合格はめざせますが、どのアプリでもよいわけではありません。宅建は出題の中心が法令の試験なので、受験する年度の法令にもとづいて学ぶ必要があります。しかも四肢択一でも、令和7年度の本試験では「誤っているものはいくつあるか」のように選択肢すべての正誤を判断させる問題が50問中11問あり、選択肢1つずつの正誤を判断できる理解が求められます。問題を解いて正誤を見るだけのアプリでは、この2点が抜け落ちがちです。この記事では、宅建の試験を実施している不動産適正取引推進機構(RETIO)の公表資料にもとづいて、アプリで進めやすいところと進めにくいところを切り分け、アプリを選ぶときの基準まで整理します(2026年10月時点)。なお、この記事は宅建対策アプリ「AIナビスタ」を運営する私たちが書いています。

結論:アプリだけで進められるかは「法令の時点」と「解説の深さ」で決まる

受験年度の法令にもとづき、選択肢ごとの理由まで書いた解説があるアプリを使えるなら、アプリ中心で進められます。そのうえで、人による向き不向きは次のとおりです。

アプリ中心で進めやすい人教材を足したほうがよい人
学び方の好み問題を解きながら知識を固めたい体系立てて一から読み進めたい
法律の勉強条文や判例の言い回しに抵抗がない法律の勉強がはじめてで、用語から不安がある
時間の使い方通勤・休憩などスキマ時間が中心机でまとまった時間を確保できる

どちらか一方を選ぶ話ではありません。アプリで問題演習を積み、分からないところだけテキストや条文に戻るという組み合わせなら、どちらか一方だけで進めるより取りこぼしを減らせます。

宅建の試験の前提:50問・2時間、法令の基準日は4月1日

アプリの向き不向きを考える前に、試験の形式を確認しておきます。RETIOの試験の概要によると、宅建試験は次のとおりです。

項目内容
試験の方法50問・四肢択一式の筆記試験(登録講習修了者は45問)
試験時間2時間(登録講習修了者は1時間50分)
試験日毎年1回、10月の第3日曜日(原則)
出題の根拠となる法令試験を実施する年度の4月1日現在施行されているもの

いちばん大事なのが最後の行です。宅建は毎年4月1日時点の法令で出題されるので、去年正しかった答えが今年は誤りになることがあります。たとえば区分所有法の集会の普通決議は、2026年4月1日から「出席した区分所有者及びその議決権の各過半数」で決まるようになりました。それより前の「区分所有者及び議決権の各過半数」を前提にした問題は、いまの法令では答えが変わることがあります(改正の主な点は宅建の勉強はいつから始めるかの表にまとめています)。アプリや問題集が「どの時点の法令にもとづいているか」は、宅建では選び方の基準としてとくに重くなります。

宅建でアプリだけだと足りなくなる3つの理由

宅建でアプリ学習の弱点になりやすいのは、次の3点です。どれも試験の性質から来るもので、アプリの選び方と使い方で軽くできます。

  • 公表されている本試験問題は、出題当時の法律のまま … RETIOは過去の試験問題と正解番号表を昭和63年度から公表していますが、「法改正により、現在の法律と一致しない場合があります」と注記しています。公表されているのは問題と正解番号で、解説は付いていません。古い年度の問題をそのまま解いて覚えると、改正前の知識を身につけてしまうおそれがあります。
  • 正誤だけでは得点が安定しない … 四肢択一では、4つの選択肢それぞれの正誤と理由が分かって初めて、少し言い回しを変えた問題にも対応できます。正解の番号だけを覚える学び方では、言い回しを変えた問題や、正誤の個数を問う問題に対応しにくくなります。
  • 権利関係の事例問題は、図に描くと整理しやすい … 売主・買主・第三者のように登場人物が増える問題は、関係を図に描くと整理しやすくなります。スマホの画面を眺めるだけでは追いにくいので、紙に描くか、画面に直接書き込める機能を使います。

宅建でアプリが向いていること

弱点ばかりではありません。宅建には、アプリと相性の良い面もあります。

  • 数字や手続きの反復 … 期間・面積・届出の要否のように、正確に覚えるべき数字や手続きは、短い問題を繰り返し解く形と相性が良い分野です。スキマ時間に数問ずつ進めても積み上がります。
  • 間違えた問題だけを解き直しやすい … 解答の記録が残るアプリなら、間違えた問題だけを選んで解き直せます。紙の問題集で同じことをするには、自分で印を付けて管理する手間がかかります。
  • 疑問をその場で解消できる … 解説を読んでも腑に落ちない用語や制度の違いを、その場で調べたり質問したりできるアプリなら、つまずいたところで手が止まりません。

宅建のアプリを選ぶ5つの基準

アプリで進めるなら、ストアの説明文やアプリ内の案内で次の5点を確かめてから選ぶのがおすすめです。無料で使える範囲で数問解き、解説の中身も見てください。

基準確かめることなぜ大事か
① 法令の時点何年の何月何日時点の法令にもとづいているか宅建は毎年4月1日時点の法令で出題される。改正で答えが変わることがある
② 問題の出どころ本試験の問題か、出題傾向をもとに作ったオリジナル問題か本試験の問題なら、改正後の答えへの対応を見る。オリジナルなら、本試験の論点に沿っているかを見る
③ 解説の深さ正解番号だけか、選択肢ごとの理由まであるか言い回しを変えた問題にも対応できる理解が身につくか
④ 通しの模試本試験と同じ50問・2時間で時間を計れるか1問ずつ解くだけでは、2時間の時間配分が身につかない
⑤ 動画と料金動画の解説があるか。無料でどこまで使えるか、買い切りか月額か動画で学びたいかどうかと、試験までの月数で向き不向きや総額が変わる

とくに①は見落とされがちです。古い年度の本試験問題を収録しているアプリなら、法改正で答えが変わった問題を改変・削除・注記のどれで扱っているかを確かめてください。ストアの説明文に法令の時点が書かれていないときは、改正のあった論点(たとえば2026年4月1日施行の区分所有法の決議要件)の問題を無料の範囲で探して解き、解説が現行の法令に触れているかで確かめられます。

AIナビスタの場合:入っているもの・入っていないもの

ここからは自社アプリの話です。アプリ「AIナビスタ」の宅建対策版について、上の5つの基準に沿って書きます(RETIO・国土交通省の監修・認可・提携を受けたものではありません)。

基準AIナビスタの宅建対策
① 法令の時点実戦問題とその解説は、2026年4月1日時点で施行されている法令にもとづいて制作。2027年度の試験に向けて、2027年4月中に2027年4月1日時点の法令へ更新する予定
② 問題の出どころ実戦問題1,082問は、本試験の出題傾向を分析して制作したオリジナル問題。本試験そのものの問題は、令和7年度の本試験(全50問)を模試として収録
③ 解説の深さ全問に、テーマ・押さえる知識・選択肢ごとの検討までのくわしいテキスト解説
④ 通しの模試一般の受験と同じ50問・2時間の模試4回分(模擬試験 第1回・第2回、予想模試、令和7年度 本試験)
⑤ 動画と料金動画はなく、全問テキスト解説。ダウンロードと一部の問題は無料、すべての問題は月額¥3,900(最初の3日間は無料)

模擬試験の第1回・第2回は、実戦問題から本試験の出題配分で組み直した回です。令和7年度の本試験問題は出題当時の法令にもとづくため、その後の改正で答えが変わる問題には現行法についての注記を付けています。このほか、試験日といくつかの質問への回答から毎日の課題を組み立てる学習プランと、わからない問題をその場でAIに質問できる機能があります。権利関係の関係図は、画面に直接手書きメモで描けます。

一方で、入っていないものもはっきりあります。宅建対策版には解説動画はありません。本試験そのものの問題は令和7年度の50問だけなので、それより前の年度を解きたい人は、RETIOが公表している問題を、法改正に注意しながら組み合わせてください。また、2027年度の試験は2027年4月1日時点の法令が基準になります。アプリの実戦問題と解説は2027年4月中にその時点の法令へ更新する予定ですが、それまでのあいだに施行された改正は、e-Gov法令検索や所管省庁(法務省・国土交通省)の公表で確かめるようにしてください。ダウンロードは無料で、無料のまま一部の問題に挑戦できます。すべての問題を解けるプレミアムプランは月額¥3,900で、最初の3日間は無料でお試しいただけます。

アプリ中心で進めるときの順番

アプリを軸にするなら、次の順番で進めると取りこぼしを減らせます。

  1. 全体像と優先順位を決める … 権利関係・宅建業法・法令上の制限・税・価格・免除科目のうち、どこから手を付けるかを学習プランで決める
  2. 分野ごとに問題を解き、解説で選択肢ごとの理由を確かめる … 正解した問題も、ほかの選択肢がなぜ誤りかを説明できるかで確認する
  3. 権利関係は紙か画面に図を描く … 登場人物の関係を描いてから選択肢を読む
  4. 本試験形式の模試で2時間を通す … どの分野で時間を使いすぎているかを確かめる
  5. 公表されている本試験問題で仕上げる … RETIOの問題を解くときは、受験年度の法令で答えが変わっていないかを確かめる

勉強をいつ始めて、どの月に何をするかは宅建の勉強はいつから始めるかで、試験日からの逆算として整理しています。

まとめ

  • 宅建はアプリ中心でも合格をめざせるが、問題を解いて正誤を見るだけのアプリでは足りない
  • 出題の根拠となる法令は試験を実施する年度の4月1日現在施行されているもの(RETIOの試験概要)
  • RETIOが公表している本試験問題は出題当時の法律のままで、法改正で現在の法律と一致しない場合がある
  • アプリは法令の時点・問題の出どころ・解説の深さ・通しの模試・動画と料金の5つで選ぶ
  • 権利関係の事例問題は、図を描く練習をアプリの外でも足す

アプリは問題演習の量と反復を支える道具として使い、法律の時点と選択肢ごとの理由を確かめる習慣を組み合わせる。それが、アプリ中心で宅建に挑むときの進め方です。