基本情報技術者試験の科目Bの形式でIPA(情報処理推進機構)が公開している問題は、サンプル問題26問と令和5〜8年度の公開問題24問を合わせた50問です。内訳はアルゴリズムとプログラミングが41問、情報セキュリティが9問です。この記事では、この50問を1問ずつ、出どころ(サンプル問題の何問目か、何年度の問何か)とテーマで対応づけた表を載せ、どの順番で解くかを示します。この記事は、基本情報技術者試験の対策アプリ「AIナビスタ」を運営する私たちが、アプリの教材データをもとに書いています(2026年10月時点)。

結論:50問はテーマ別に、変数の表を書きながら解く

科目Bの公開問題は、年度順やサンプル問題の番号順に解くより、テーマごとにまとめて解くほうが、自分の弱いところを見つけやすくなります。私たちの整理では、次の順番で進めます。

  1. 擬似言語の基本(11問)… 代入・条件分岐・繰返し・関数の呼び出し
  2. 配列と文字列の処理(9問)… 要素番号を追う問題
  3. リスト・スタック・キュー(6問)… 配列やクラスでデータ構造を表す問題
  4. 再帰・木・グラフ(5問)… 自分自身を呼ぶ関数と、木・グラフの表現
  5. 探索・整列(4問)… 2分探索・マージ・クイックソートなど
  6. 数理・データサイエンスの応用(6問)… 素数・統計量・類似度などの計算を題材にした問題
  7. 情報セキュリティ(9問)… 1〜6とは別に、並行して進める

どのテーマでも、変数の値が変わるたびに表へ書き出して追います。本番の科目Bは100分で20問なので、1問あたりの時間は約5分です。解き終えたら、その問題を「なぜその答えになるか」を自分の言葉で説明できるかを確かめてから次へ進みます。

科目Bの形式でIPAが公開しているのは50問

科目Bの形式(令和5年度からの現行制度)でIPAが公開している問題は、次の3種類で計50問です。2026年10月時点の数で、公開問題のページとサンプル問題を掲載したページで確かめられます。

  • サンプル問題(6問) … 2022年4月25日掲載。問1〜5がアルゴリズム、問6がセキュリティ
  • サンプル問題セット(20問) … 2022年12月26日掲載。問1〜16がアルゴリズム、問17〜20がセキュリティ
  • 令和5〜8年度の公開問題(各6問) … 本番は20問ですが、各年度6問ずつが公開されています。どの年度も問1〜5がアルゴリズム、問6がセキュリティ

令和2〜4年度の基本情報技術者試験の問題は、IPAが非公開としています。公開されている問題の数の一覧や、科目Bがアプリだけでは足りなくなる理由は基本情報技術者試験はアプリだけで合格できるかで詳しく書いたので、ここでは数ではなく中身の整理に絞ります。

なお、IPAの解答例は正解の記号だけで、解説はありません。2022年4月の6問のサンプル問題には各問の出題趣旨が1〜2文付いていますが、解き方の説明ではありません。

公開50問のテーマ別対応表

下の表は、私たちのアプリで科目Bの50問を7つのテーマ(アプリのレッスン)に分けた整理です。テーマ分けは私たちの判断で、IPAが定めた分類ではありません。表の中の略記は、「6問版」が2022年4月のサンプル問題、「20問版」が2022年12月のサンプル問題セット、「R5」〜「R8」が令和5〜8年度の公開問題です。題材は私たちの言葉で短くまとめています。

テーマ(問題数)小テーマ出どころと題材
擬似言語の基本(11)代入と条件分岐R6 問1(3つの整数の最大値)/20問版 問1(代入の順番と出力)/6問版 問1(年齢別の入場料)/20問版 問2(FizzBuzz)
関数の呼び出しと繰返しR7 問1(同じ値を返す2つの関数)/R7 問2(硬貨の組合せの数)/R5 問2(手続の呼び出し順と出力)/20問版 問5(べき乗の関数で平方根)
ビット演算と基数変換R8 問2(8ビットの値の補数)/20問版 問6(ビットの並びの反転)/20問版 問16(UTF-8への符号化)
配列と文字列の処理(9)配列の並べ替えと変換R8 問1(末尾の要素を先頭へ移す)/6問版 問2(配列を逆順に)/20問版 問3(累積和の配列)
文字列の探索と比較R7 問4(文字の並びの探索)/R6 問2(2進数の文字列を整数に)/20問版 問12(2つの文字列の一致率)
疎行列とベクトル表現R8 問5(One-Hot表現への変換)/6問版 問4(疎行列の変換)/6問版 問5(文字の後に続く文字の出現割合)
リスト・スタック・キュー(6)単方向リストR8 問4(2つの配列で表すリスト)/6問版 問3(リストへの追加)/20問版 問10(リストからの削除)
スタック・キューなどR7 問3(配列で表すスタック)/R5 問4(ハッシュ表への格納)/20問版 問8(優先度付きキュー)
再帰・木・グラフ(5)再帰R8 問3(再帰と配列で同じ値を求める)/20問版 問7(階乗)
グラフ・木R6 問3(グラフの辺の配列)/20問版 問9(2分木の走査順)/20問版 問15(三目並べの手の評価)
探索・整列(4)探索・整列R6 問4(整列済み配列の併合)/R5 問3(クイックソート)/20問版 問11(値を添字にする整列)/20問版 問13(2分探索)
数理・データサイエンスの応用(6)統計量とデータ集計R7 問5(理論度数の計算)/R6 問5(商品の関連度)/20問版 問14(データを特徴づける5つの値)
整数とベクトルR5 問1(素数の列挙)/R5 問5(コサイン類似度)/20問版 問4(最大公約数)
情報セキュリティ(9)脆弱性診断と責任分界/テレワークとBYOD/ログ管理とバックアップ/最小権限と職務分掌R5〜R8 の各問6/6問版 問6/20問版 問17〜20

表を見ると、どの年度の公開問題も、アルゴリズムの5問が複数のテーマに散らばっています。年度順に解くと、同じテーマの問題が年度をまたいで離れてしまうので、テーマ別に並べ替える意味があります。

解く順番:擬似言語の基本から始めて、探索・整列は後半に

私たちの整理では、前のテーマで使った読み方を次のテーマで使う順に並べています。順番の理由は次のとおりです。

順番テーマこの位置に置く理由
1擬似言語の基本代入・if・for・関数の呼び出しを正しく追えないと、ほかのテーマも解けない
2配列と文字列の処理要素番号を1つずつずらしながら追う練習。この後のテーマの多くで配列を使う
3リスト・スタック・キュー6問のうち3問は配列でデータ構造を表すので2の読み方を使う。残り3問はクラスを使う問題で、listHead.next のようなメンバ変数や、prioQueue.enqueue(…) のようなメソッドを「.」で参照するので、その読み方もここで覚える
4再帰・木・グラフ関数が自分自身を呼ぶので、呼び出しの記録を表に書く練習が要る
5探索・整列クイックソート(R5 問3)のように再帰を使う問題があるので、4の後に置く
6数理・データサイエンスの応用題材の説明(統計や類似度の式)を読む量が多い。プログラムの読み方が固まってから解く

アプリのレッスンは探索・整列を3番目に並べていますが、この記事では再帰を使う問題があるため後ろに回しています。アプリで解くときも、この記事の順に選んで構いません。

情報セキュリティの9問は、プログラムを読む問題ではなく、会社の状況を説明した文章を読み、対処する組織・生じるリスク・対策・ルールに違反している運用などを選ぶ事例問題です。上の1〜6とは読み方が違うので、アルゴリズムの勉強と並行して、たとえば1日1問ずつ進めても構いません。セキュリティの9問の題材と解き方は科目Bのセキュリティ9問の記事にまとめています。

擬似言語の記述形式と、トレース表の書き方

科目Bの擬似言語の書き方は、IPAが「試験で使用する情報技術に関する用語・プログラム言語など」(Ver.5.1)の別紙2で定めています。試験要綱・シラバスのページからPDFで入手できるので、最初に一度読んでおくと、問題文の記号で迷いにくくなります。特に次の5点は取り違えやすいところです。

  • 「←」は代入 … 右辺の値を、その時点で左辺の変数に入れる
  • if〜elseif は上から評価 … 最初に真になった条件の処理だけを実行し、以降の条件は評価しない
  • while は前判定、do〜while は後判定 … do〜while は条件にかかわらず処理を1回は実行する
  • mod は剰余(割った余り) … 演算子の優先度は、乗除と mod が加減より高い
  • 「.」はメンバ変数・メソッドの参照 … listHead.next のように、クラスの中の値をたどる

配列の要素番号が0から始まるか1から始まるかは、記述形式では決めていません。配列を使う公開問題では「ここで,配列の要素番号は1 から始まる」のように問題文の冒頭に書かれているので、解き始める前に必ず確かめます。

トレース表は「1行=1回の処理」で書く

トレース表は、変数を列に、処理の1回分を行にした表です。たとえば、s を0にしてから、i を1から4まで1ずつ増やし、i mod 2 が0のときだけ s ← s + i を実行するプログラムなら、次のように書きます(説明用に私たちが作った例です)。

ii mod 2条件実行後の s
11偽0
20真2
31偽2
40真6

最後の s は6です。頭の中だけで追うと、繰返しの2周目・3周目で値を取り違えやすくなります。表に書けば、どの行で間違えたかが後から見えます。申込先のCBT-Solutionsの案内では、本番の会場でもメモは会場が用意するメモ用紙とボールペンを使うとされているので、紙に書く練習をしておくと本番と同じ手順で解けます。

50問を使い切ったあとの練習の確保

IPAが公開している科目Bの問題は50問で、本番2回半ぶんしかありません。私たちの整理では、使い切ったあとの練習は次の3つで確保します。1つ目と2つ目は、手元にある問題を別の形で使い直す方法です。3つ目は、20問版のサンプル問題セットを解き直すか、別に用意した通しの問題を使います。

方法やること何の練習になるか
入力を変えて解き直す同じプログラムに、配列の中身や引数を変えて渡し、トレース表を書き直す答えを覚えていても、変数の動きを追う練習になる
空欄以外の行を問う空欄を埋めた後、「この行は何回実行されるか」「最後の変数の値は何か」を自分で問う1つのプログラムから複数の問いを作れる
時間を計って通しで解く20問版のサンプル問題セットや予想模試を、20問100分で通して解く1問約5分の時間配分。途中で止まった問題を飛ばす判断

入力を変えて解き直すときは、答えの確かめ方が問題になります。手で2回トレースして同じ値になるかを見るか、解説のある教材で同じ問題の手順を確かめてください。

アプリ「AIナビスタ」には、IPA公開の試験問題1,699問があり、そのすべてに解説動画が付いています。科目Bは、この記事の表と同じ50問を7つのテーマに分けて解けます。画面に手書きでメモを書き込めるので、短いトレースならアプリの中でも追えます。

本番と同じ20問・100分で解くオリジナルの予想模試もあり、50問を使い切った後の通し練習に使えます。ダウンロードは無料で、無料のまま一部の問題に挑戦できます。解説動画の見放題・AIへの質問し放題・予想模試はプレミアムプラン(月額¥3,900、最初の3日間は無料)の機能です。スマホアプリだけで、Web版はありません。

科目Bが550〜599点だった人がまず直すところ

科目Bの基準点は評価点600点(1,000点満点)で、合格には科目Aと科目Bの両方で基準点以上が必要です(IPAの試験要綱 Ver.5.6)。IPAが2026年9月28日に公表した令和8年8月分の評価点分布では、科目Bを受けた11,257名のうち、600点以上は5,405名(約48.0%)、550〜599点は1,797名(約16.0%)でした。

科目Bの評価点(令和8年8月分・600点前後の4区分を抜粋)人数
650点〜699点1,572名
600点〜649点2,027名
550点〜599点1,797名
500点〜549点1,463名

評価点はIRT(項目応答理論)で算出されるので、正答数の割合とそのまま一致するわけではありません。そのため、550点台から「あと何問正解すれば600点」とは言えません。また試験要綱によると、科目Bの20問のうち評価に使うのは19問で、残りの1問は今後出題する問題を評価するために使われます。

私たちがすすめる直し方は、次の順番です。

  1. 50問をテーマ別に解き直して記録する … 間違えた問題を「時間内に解けなかった」「トレースの途中で値を取り違えた」「問題文の条件を読み落とした」に分ける
  2. 間違いが集まったテーマに戻る … 上の対応表で、そのテーマの問題をまとめて解き直す
  3. セキュリティの4問を落とさない … 本番20問のうち4問は情報セキュリティです。アルゴリズムに時間を使いすぎて、セキュリティを解く時間が残らない形を避ける

再受験の日程にも注意してください。IPAの公表では、現行の基本情報技術者試験は2026年12月28日以降に一時休止する予定で、受けられる最後の試験開催日は12月27日です。ただし会場によってはそれより前に終わる場合があり、再開時期は2026年10月時点で発表されていません。再受験の申込みの規則と締切は基本情報技術者試験はいつまで受けられるかにまとめています。

まとめ

  • 科目Bの形式でIPAが公開している問題は、サンプル問題26問と令和5〜8年度の公開問題24問の計50問(アルゴリズム41問・セキュリティ9問)
  • IPAの解答例は正解の記号だけで、解説は付かない
  • 私たちの整理では、擬似言語の基本→配列と文字列→リスト・スタック・キュー→再帰・木・グラフ→探索・整列→数理・データサイエンスの応用の順に解き、セキュリティは並行して進める
  • 擬似言語の記述形式はIPAの資料(別紙2)で一度確かめ、配列の要素番号の始まりは問題文で確かめる
  • トレース表は「1行=1回の処理」で書き、どの行で間違えたかを後から見られるようにする
  • 50問を使い切ったら、入力を変えて解き直す・自分で問いを作る・20問100分で通して解く
  • 令和8年8月分では、科目Bの550〜599点は1,797名。直すときは、間違いをテーマ別に分けて記録してから戻る

50問は多くありませんが、テーマ別に並べ直すと、どこで止まっているかが見えやすくなります。1問ずつ表を書いて解き、説明できる問題を増やしていってください。