方程式と不等式でつまずく原因は、計算ではなく翻訳です。①求めたいものを x とおく → ②残りを x で表す → ③等号(または不等号)で結べる関係を1つ見つける → ④解く → ⑤問われているものを答える。 この5手順に乗せてしまえば、設定が変わっても同じように解けます。分配・連立・過不足算・速さ・不等式と型を散らした5問を用意しました。まず自分で解いてから、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしましょう。
方程式と不等式は、私たちがSCOA対策アプリ「AIナビスタ」を作るにあたって整理した13単元のうち、数列に次いで収録問題数が多くなった単元(90問)で、学習プランでも四則演算の次に置いています。計算の土台なので、ここが固まっていないと損益算も速度算も仕事算も、結局そこで詰まります。
⚠️ この「90問」「四則演算の次」は私たちの整理・編集判断であって、公式の出題範囲や頻度ではありません。SCOAの提供元は「数理」という尺度名しか公表しておらず、単元の内訳は非公開です。
また以下は、SCOAの実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です(SCOAの問題は提供元が公開しておらず、公式の過去問は存在しません)。単元全体の整理と他の型は「SCOAの数理(非言語)対策」にまとめています。
例題① 合計と差が分かっているとき、文字はいくつ必要?
兄と弟の2人で、合わせて4,800円を出し合ってプレゼントを買った。兄は弟より600円多く出した。弟が出した金額はいくらか。
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答え:2,100円
5手順をそのまま当てはめます。
- ① x とおく:弟が出した金額を x 円とする
- ②残りを x で表す:兄は弟より600円多いので (x + 600) 円
- ③=で結べる関係を探す:「合わせて4,800円」がそれです → x + (x + 600) = 4,800
- ④解く:2x + 600 = 4,800 → 2x = 4,200 → x = 2,100
- ⑤問われているものを答える:聞かれているのは弟の金額なので、x がそのまま答えで 2,100円
ポイントは②です。登場人物が2人でも、文字は1つで足ります。 「兄を y」と2文字めを置きたくなりますが、「兄=弟+600」と日本語で書いてあるのだから x で表せます。文字は少ないほど計算が楽です。(検算:弟2,100 + 兄2,700 = 4,800円 ✓、2,700 − 2,100 = 600円で「600円多い」とも一致 ✓)
例題② 文字が2つ必要なのは、どんなときか
ある施設の入館料は、大人2人と子ども3人で合計2,900円、大人1人と子ども4人で合計2,300円である。大人1人の入館料はいくらか。
解答・解説を見る
答え:940円
例題①と違い、この問題には、「大人=子ども+○円」のように片方をもう片方で表せる関係が書かれていません。こういうときだけ、素直に文字を2つ使います。
- ① x とおく:大人1人を x 円、子ども1人を y 円とする
- ②残りを表す:大人2人=2x 円、子ども3人=3y 円というように、金額はすべて x・y で書けます
- ③=で結べる関係を探す:組み合わせが2通り与えられている=式が2本立ちます
- 2x + 3y = 2,900
- x + 4y = 2,300
- ④解く:下の式から x = 2,300 − 4y。これを上の式に代入して 2(2,300 − 4y) + 3y = 2,900 → 4,600 − 8y + 3y = 2,900 → −5y = −1,700 → y = 340 x に戻して、x = 2,300 − 4×340 = 940
- ⑤問われているものを答える:大人1人なので 940円
文字を2つ置いたら、式も2本必要です。式が1本しかないのに文字を2つ置くと、そこで手が止まります。逆に言えば、「条件が2通り書いてある=式が2本立つ」というサインだと思ってください。(検算:2×940 + 3×340 = 1,880 + 1,020 = 2,900円 ✓、940 + 4×340 = 940 + 1,360 = 2,300円 ✓。2本とも満たすので正しい)
なお、この問題で「大人1人と子ども1人では合計いくらか」と聞かれたら、答えは x でも y でもなく 940 + 340 = 1,280円です。問われているものが x そのものとは限りません。 次の例題③が、まさにその型です。
例題③ 過不足算|x を出しても、まだ終わりではない
あるクラスで色紙を配る。1人に4枚ずつ配ると15枚余り、1人に6枚ずつ配ると7枚足りない。色紙は全部で何枚あるか。
解答・解説を見る
答え:59枚
この問題は、⑤で取りこぼす人がいちばん多い型です。
- ① x とおく:x を「色紙の枚数」にしたくなりますが、式が立てやすいのは「生徒の人数」です。生徒を x 人とします
- ②残りを x で表す:色紙の枚数を、2通りの言い方で x を使って表します
- 4枚ずつ配ると15枚余る → 色紙 = 4x + 15(枚)
- 6枚ずつ配ると7枚足りない(必要な枚数より7枚少ない) → 色紙 = 6x − 7(枚)
- ③=で結べる関係を探す:同じ「色紙の枚数」を2通りに表したのだから、この2つは等しい → 4x + 15 = 6x − 7
- ④解く:15 + 7 = 6x − 4x → 22 = 2x → x = 11
- ⑤問われているものを答える:ここが本番です。 x = 11 は生徒の人数であって、聞かれているのは色紙の枚数。11 と答えると不正解です。色紙 = 4×11 + 15 = 59枚
コツは2つ。「余る」は足す、「足りない」は引く(符号を逆にすると答えが合いません)。そして、x が出た瞬間に安心せず、問題文の最後の一文に必ず戻ること。 「何人か」なのか「何枚か」なのかを確認するだけなら5秒もかかりません。(検算:生徒11人に4枚ずつ配ると44枚使い、59 − 44 = 15枚余る ✓。6枚ずつなら66枚必要で、66 − 59 = 7枚足りない ✓。両方の条件を満たすので59枚で正しい)
例題④ 速さ|「5分遅れ」と「3分早い」の差は何分か
家から駅まで歩く。分速60mで歩くと待ち合わせの時刻に5分遅れ、分速80mで歩くと3分早く着く。家から駅までの距離は何mか。
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答え:1,920m
速さが絡んでも、やることは翻訳だけです。道具は 時間 = 距離 ÷ 速さ の1つで足ります。
- ① x とおく:聞かれている家から駅までの距離を x m とする
- ②残りを x で表す:分速60mでかかる時間 = x ÷ 60(分)、分速80mでかかる時間 = x ÷ 80(分)
- ③=で結べる関係を探す:ここが山場です。「5分遅れる」と「3分早く着く」は同じ待ち合わせ時刻を基準にした言い方なので、2つの歩き方の所要時間の差は 5 + 3 = 8分 → x/60 − x/80 = 8
- ④解く:分母を240にそろえて 4x/240 − 3x/240 = 8 → x/240 = 8 → x = 1,920
- ⑤問われているものを答える:距離なので 1,920m
注意点は③です。「5分遅れ」と「3分早い」を引き算して2分としないこと。遅刻側と早着側は待ち合わせ時刻をはさんで反対側にあるので、差は足して8分です。数直線に待ち合わせ時刻を真ん中に置き、左へ3分・右へ5分と書けば取り違えません。(検算:1,920 ÷ 60 = 32分、1,920 ÷ 80 = 24分で差は8分 ✓。待ち合わせまでの時間も 32 − 5 = 27分、24 + 3 = 27分と、どちらの歩き方からも一致 ✓)
例題⑤ 不等式|端数は切り上げか、切り捨てか
現在、兄は5,000円、弟は2,000円を貯金している。これから毎月、兄は500円ずつ、弟は900円ずつ貯金していく。弟の貯金額が兄の貯金額以上になるのは、何か月後からか。
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答え:8か月後
不等式でも手順は同じです。変わるのは、③で=ではなく不等号を使うことと、⑤で端数の処理が要ることだけです。
- ① x とおく:求める月数を n か月とする(ここでは x の代わりに n を使います)
- ②残りを表す:n か月後の兄 = 5,000 + 500n(円)、n か月後の弟 = 2,000 + 900n(円)
- ③不等号で結ぶ:「弟が兄以上」なので → 2,000 + 900n ≧ 5,000 + 500n
- ④解く:文字を左、数字を右に集めて 900n − 500n ≧ 5,000 − 2,000 → 400n ≧ 3,000 → n ≧ 7.5
- ⑤問われているものを答える:7.5か月後というものは存在しません。 7.5以上を満たす最小の整数は8なので、8か月後
端数は丸暗記せず、聞かれ方から決めます。判断はいつも「不等式を満たす整数のうち、聞かれている側の端を取る」だけです。
- 今回のように n ≧ 7.5 で「何か月後からか(最小)」→ 7.5以上で最小 → 切り上げて8
- 逆に n ≦ 7.5 で「最大何個か」→ 7.5以下で最大 → 切り捨てて7
迷ったら両隣の整数を代入して確かめるのが確実です。(検算:7か月後は兄8,500円・弟8,300円で弟はまだ届かない ✗。8か月後は兄5,000 + 4,000 = 9,000円、弟2,000 + 7,200 = 9,200円で弟が兄以上になる ✓。よって8か月後が正しい)
なお、不等号の向きが反転するのは、両辺に負の数をかけたり割ったりするときだけです。今回のように文字の係数を正の数(400)にしてから割れば、向きで悩む場面はほとんどありません。
5つの手順は、設定が変わっても同じです
舞台は分配・入館料・色紙・速さ・貯金とばらばらでしたが、5問ともやったことは同じです。迷ったら①に戻ってください。どの x を置くかで、③の式の立てやすさが決まります(例題③のように、求めたいものと違うものを x にした方が楽なこともあります)。
そしていちばん点を落としやすいのは、意外にも④の計算ではなく⑤です。x を出した安心感で、そのまま答えてしまう。最後に問題文の最後の一文へ戻る、これを癖にするだけで取りこぼしは減ります。
この5手順は方程式と不等式だけのものではありません。損益算も濃度算も仕事算も、結局は「日本語を式に翻訳して解く」だけです。方程式を先に固めると、後の単元がまとめて軽くなります。 各単元の型は「SCOAの数理(非言語)対策」にまとめているので、次はそちらへ進んでみてください。