四則演算で差がつくのは、計算の正確さよりも「式を見た瞬間に、手数を減らす置き換えに気づけるか」です。125 × 64 を筆算で押し切るか、64 × 1,000 ÷ 8 と読み替えて暗算で終わらせるか。同じ答えでも、かかる時間はまったく違います。ここでは、共通の数を括り出す・キリのいい数への置き換え・和と差の積・小数を分数に直す・約分を先にする、と5つの別々の工夫を、解答・解説つきの5問で用意しました。まず自分で解いてから、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしましょう。

四則演算は、私たちがSCOA対策アプリ「AIナビスタ」を作るにあたって整理した13単元のうち、学習プランの先頭に置いている単元です(収録68問)。すべての土台なので、ここが遅いと後続の単元すべてで時間を失います。

ここで紹介する例題は、SCOAの実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です(SCOAの問題は提供元が公開しておらず、公式の過去問は存在しません)。単元の考え方は「SCOAの数理(非言語)対策」で解説しています。

なお、SCOAで電卓が使えるかどうかは、提供元の実施方式のページを含めて公式のどこにも記載がないため断定できません。受検する企業や方式ごとの案内に従ってください。公式に記載がない以上、筆算・暗算で速く正確に計算できるようにしておくのが安全です。この記事の工夫は、そのための道具立てです。

例題① 基本:共通の数を括り出す

73 × 26 + 73 × 74 = ?

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答え:7,300

気づくポイントは「73が両方に出てくること」、そして「26 + 74 = 100」です。分配法則で73を括り出します。

  1. 73 × 26 + 73 × 74 = 73 ×(26 + 74)
  2. = 73 × 100 = 7,300

検算します。73 × 26 = 1,898、73 × 74 = 5,402、1,898 + 5,402 = 7,300 ✓ 一致します。

なぜこの手順が速いか:素直に解くと「2桁×2桁の筆算を2回+4桁どうしの足し算1回」で計3回の筆算が必要です。括り出せば足し算1回と×100だけで終わります。ポイントは、かけ算を始める前に式全体を眺めて、同じ数が繰り返されていないか探すこと。見つけたら、残りの数を足して(引いて)キリのいい数になるかを確認します。

この工夫は逆向きにも効きます。たとえば 38 × 99 + 38 は、後ろの38を「38 × 1」と読み替えれば 38 ×(99 + 1)= 38 × 100 = 3,800 です(検算:38 × 99 = 3,762、3,762 + 38 = 3,800 ✓)。単独で置かれている数も「×1」とみなす——これで括り出せる式がぐっと増えます。

例題② キリのいい数に置き換える(×125・×5)

125 × 64 − 88 × 5 = ?

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答え:7,560

125と5は、どちらも「キリのいい数」に化ける数です。125 × 8 = 1,000 なので 125 = 1,000 ÷ 8、5 = 10 ÷ 2 なので ×5 は ×10 ÷ 2 と置き換えられます。

  1. 125 × 64 = 64 × 1,000 ÷ 8 = 64,000 ÷ 8 = 8,000
  2. 88 × 5 = 88 × 10 ÷ 2 = 880 ÷ 2 = 440
  3. 8,000 − 440 = 7,560

検算します。125 × 64 は 100 × 64 = 6,400 と 25 × 64 = 1,600 に分けて 6,400 + 1,600 = 8,000 ✓。88 × 5 = 440 ✓。8,000 − 440 = 7,560 ✓ 一致します。

この置き換えは、道具として丸ごと覚えてしまうのが得です。

かける数置き換え理由
× 5× 10 ÷ 25 = 10 ÷ 2
× 25× 100 ÷ 425 = 100 ÷ 4
× 50× 100 ÷ 250 = 100 ÷ 2
× 125× 1,000 ÷ 8125 = 1,000 ÷ 8

なぜこの手順が速いか:「×1,000」は0を3つ付けるだけ、「÷8」は2で3回割るだけ(64,000 → 32,000 → 16,000 → 8,000)で、どちらも筆算が要りません。3桁×2桁の筆算を避けられるのが効きます。同じ発想を使った「×25 = ×100 ÷ 4」の例題は「SCOAの数理(非言語)対策」にもあるので、あわせて確認してみてください。

例題③ 和と差の積:100からの「ズレ」を見る

103 × 97 − 96 × 104 = ?

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答え:7

一見すると4桁の計算が2回ですが、「103と97は100から3ずつ離れている」「96と104は100から4ずつ離れている」と気づけば暗算で終わります。使うのは (100 + a)×(100 − a)= 10,000 − a × a という形です。

  1. 103 × 97 =(100 + 3)×(100 − 3)= 10,000 − 9 = 9,991
  2. 96 × 104 =(100 − 4)×(100 + 4)= 10,000 − 16 = 9,984
  3. 9,991 − 9,984 = 7

検算します。103 × 97 は 103 × 100 = 10,300 から 103 × 3 = 309 を引いて 9,991 ✓。96 × 104 は 96 × 100 = 9,600 に 96 × 4 = 384 を足して 9,984 ✓。9,991 − 9,984 = 7 ✓ 一致します。

なぜこの手順が速いか:この問題は、さらに一歩進めると引き算1回で終わります。(10,000 − 9)−(10,000 − 16)は 10,000 どうしが打ち消し合うので、16 − 9 = 7。積そのものを出す必要すらありません。

使える条件に注意してください。 この形が使えるのは、2つの数がキリのいい数から同じだけ離れているときだけです。103 × 97(100から±3)はOKですが、103 × 98 は100からのズレが3と2で違うので、この形にはできません。まず2つの数の真ん中がキリのいい数になっているかを確認してから使いましょう。

例題④ 小数は分数に直す

0.75 × 48 − 0.375 × 56 = ?

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答え:15

小数のままかけると筆算が重くなります。0.75 = 3/4、0.375 = 3/8 と分数に直すと、約分が効いて暗算になります。

  1. 0.75 × 48 = 3/4 × 48 = 48 ÷ 4 × 3 = 12 × 3 = 36
  2. 0.375 × 56 = 3/8 × 56 = 56 ÷ 8 × 3 = 7 × 3 = 21
  3. 36 − 21 = 15

検算します。48の1/4は12なので3/4は36 ✓。21 ÷ 56 = 0.375 ✓(割り算で逆から確認)。36 − 21 = 15 ✓ 一致します。

覚えておくと効く変換はこれだけです。

小数分数小数分数
0.1251/80.51/2
0.251/40.6255/8
0.3753/80.753/4

なぜこの手順が速いか:もうひとつ隠れたコツがあります。「÷4 を先、×3 を後」の順番です。48 × 3 = 144 を出してから 144 ÷ 4 = 36 としても答えは同じですが、先に割るほうが扱う数が小さいまま(48 → 12 → 36)で、途中の数字を書き間違えにくくなります。約分できるものは、掛ける前に割る——これが例題⑤にもつながる基本姿勢です。

例題⑤ 応用:割り算は「約分を先に」。ただし0の消し方に注意

3,500 × 18 ÷ 210 + 4,500 ÷ 300 = ?

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答え:315

前半は掛けてから割ってはいけません。3,500 × 18 = 63,000 を先に出すと、4桁÷3桁の割り算が待っています。割る数の210と、3,500のほうを先に約分します。

  1. 3,500 と 210 は 70 で割り切れる:3,500 ÷ 70 = 50、210 ÷ 70 = 3
  2. 残った式は 50 × 18 ÷ 3。18 ÷ 3 = 6 を先にやって、50 × 6 = 300
  3. 後半は 4,500 ÷ 300 = 45 ÷ 3 = 15
  4. 300 + 15 = 315

検算します。3,500 × 18 = 63,000、63,000 ÷ 210 = 300 ✓(210 × 300 = 63,000 で逆から確認)。4,500 ÷ 300 = 15 ✓(300 × 15 = 4,500)。300 + 15 = 315 ✓ 一致します。

★0を消すときの落とし穴:手順3で 4,500 ÷ 300 を 45 ÷ 3 にしましたが、これは割られる数と割る数から「同じ個数だけ」0を消したから成り立ちます(2個ずつ)。同じ気分で 4,500 ÷ 30 を 45 ÷ 3 = 15 としたら誤りです。30の0は1個しかないので、消せるのは1個ずつ。正しくは 450 ÷ 3 = 150 で、答えは10倍ずれます(検算:30 × 150 = 4,500 ✓)。両方から同じ個数だけ消す——ここだけは指差し確認してください。

なぜこの手順が速いか:割り算は、先に約分するほど扱う数の桁が減るからです。63,000 ÷ 210 のように大きい数になってしまった場合でも、0を1個ずつ消して 6,300 ÷ 21 = 300 と軽くできます(21 × 300 = 6,300 ✓)。掛け算と割り算が混ざった式を見たら、計算を始める前に「約分できるペアはどれか」を探すのが鉄則です。

もっと解きたくなったら

四則演算は、式を見た瞬間に「どの道具が使えるか」を判断できるかどうかで速さが決まります。今回の5つ——共通の数を括り出す、キリのいい数に置き換える、100からのズレを見る、小数を分数に直す、約分を先にする——は、どれも思いつく必要はなく、知っていれば使えるものです。だからこそ反復する価値があります。

計算の土台が固まったら、方程式・数列と進むのが効率的だと私たちは考えています。単元ごとの考え方は「SCOAの数理(非言語)対策」に、時間がないときの絞り方は「SCOAの直前・短期対策」にまとめています。

アプリ「AIナビスタ」なら、四則演算の68問をはじめ数理13単元を反復でき、解説を読んでも分からないところはその場でAIに質問できます。