SPIの語句の意味は、提示された意味に最も合う語を選ぶ(または語の正しい意味を選ぶ)問題です。読解と違ってその場で考えても答えは出ない知識問題なので、事前にどれだけ語彙を仕込んだかがそのまま得点になります。中心になるのは漢語・和語・慣用句で、狙われやすいのは誤用しやすい慣用句・意味の近い熟語の使い分け・多義語の用法。これに加えて、ジレンマやニュアンスのような一般的なカタカナ語が出ることもあります。知らない語が出たときの推測のしかたまで、例題5問と一覧表で解説します。
まず結論:出題のされ方は4タイプ
| 出題タイプ | 問われ方 | 対策 |
|---|---|---|
| 意味 → 語 | 「不足分を補うこと」に合う語は? | 似た熟語との使い分けを覚える |
| 慣用句・ことわざ | 「気が置けない」の意味は? | 誤用しやすいものを優先して暗記 |
| 多義語の用法 | 文中の語と同じ意味で使われているものは? | 用例ごと(短文で)覚える |
| カタカナ語(一般語) | 「ジレンマ」の意味は? | 似た外来語との混同に注意 |
出題量として多いのは上の3タイプ(漢語・和語・慣用句)です。カタカナ語は出ても一般的な言葉が中心で、補助的なカテゴリとして押さえておけば十分です。
ここで紹介する例題は、SPIの実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です。言語分野の全体像は「SPIの言語(国語)対策」にまとめています。
例題① 意味から語を選ぶ
「不足分を補って埋め合わせること」を表す語として、最も適切なものを選びなさい。
ア 補強 イ 補填 ウ 修繕 エ 代替 オ 添加
解き方
- 問われている意味の核を押さえる:「不足を」「埋め合わせる」
- 選択肢を1語ずつ照らす:
- ア 補強 = 弱い部分を強くする → 「不足の埋め合わせ」ではない
- イ 補填 = 不足・欠けた部分を補い埋める → 一致
- ウ 修繕 = 壊れた箇所を直す → 違う
- エ 代替 = 別のもので代える → 補うのではない
- オ 添加 = 別のものを付け加える → 不足前提ではない
答え:イ(補填)
似た漢字を含む熟語が並ぶのが定番です。共通する字(補)ではなく、違う字(填・強)の意味に注目すると区別できます。
例題② 誤用しやすい慣用句
「気が置けない人」の意味として、最も適切なものを選びなさい。
ア 油断できない人 イ 遠慮や気遣いのいらない人 ウ 気配りのできない人
解き方
- 「気が置けない」=気(=気遣い)を置く必要がない、が本来の成り立ち
- つまり「遠慮なく付き合える」というプラスの意味
答え:イ
「油断できない(=信用が置けない)」と取り違える誤用が非常に多い言葉で、まさに誤用が多いからこそ出題されます。同じ理由で狙われやすいのが「煮詰まる(=結論が出る段階に近づく)」「役不足(=役が実力に対して軽すぎる)」など。「世間でよく間違えられている言葉」リストを作って優先的に覚えるのが効率的です(後半に一覧を載せます)。
例題③ 多義語の用法
次の文の「かける」と同じ意味で使われているものを選びなさい。
「彼の提案が会議にかけられた。」
ア 壁に絵をかける イ 議題を採決にかける ウ 鍋を火にかける
解き方
- 元の文の意味を言い換える:「提案が会議で審議の対象として出された」
- 同じ「処理・判断の場に出す」用法を探す:
- ア 吊り下げる → 違う
- イ 採決という判断の場に出す → 同じ
- ウ 火の上に置く → 違う
答え:イ
多義語は「言い換えてから照合する」のが鉄則です。元の文の「かける」を「審議に出す」と言い換えてしまえば、あとは同じ言い換えができる選択肢を探すだけです。
例題④ 一般的なカタカナ語
「理想は高いが時間が足りない、というジレンマに陥った」の「ジレンマ」の意味として、最も適切なものを選びなさい。
ア 板挟み(相反する選択肢の間で動けない状態) イ 微妙な意味合い ウ 遠回しの皮肉 エ 一見矛盾した真理 オ 強い心理的な重圧
解き方
- ジレンマ(dilemma)=二つの選択肢のどちらも選びにくい板挟みの状態
- 「ジレンマに陥る」=両立しない要求の間で動けなくなる、と自然につながる → ア
答え:ア(板挟み)
ひっかけの正体は、似たカタカナ語の混同です。イ 微妙な意味合い=ニュアンス/ウ 遠回しの皮肉=アイロニー/エ 一見矛盾した真理=パラドックスと、別の語の意味を混ぜてあります。こうした横文字は、SPI本体では漢語・慣用句ほど多くは出ませんが、出るとしてもジレンマ・ニュアンスのような一般的な言葉が中心です。「元の英単語」とセットで覚えると、取り違えに強くなります。
例題⑤ 多義語の用法(もう1パターン)
次の文の「ひく」と同じ意味で使われているものを選びなさい。
「斬新なデザインが、道行く人の注意をひいた。」
ア 慣れない土地で風邪をひく イ 知らない語を辞書でひく ウ 派手な看板が通行人の目をひく
解き方
- 元の文の「ひく」を言い換える:「注意を引き寄せる・集める」
- 同じ用法を探す:
- ア 風邪をひく = 病気にかかる(慣用) → 違う
- イ 辞書をひく = 調べる → 違う
- ウ 目をひく = 関心を引き寄せる → 一致
答え:ウ
③と同じく「言い換えてから照合」。動詞の多義語は、慣用句として固まった使い方(風邪をひく・辞書をひく)と、本来の意味(引き寄せる)を切り分けるのがコツです。
誤用されやすい慣用句・言葉リスト(本来の意味)
この分野で最も差がつくのが、世間で意味が逆向きに広まっている言葉です。「本来の正しい意味」で出題されるので、誤解のほうで覚えていると失点します。代表的なものを整理しました。
| 語句 | 本来の正しい意味 | 誤解されやすい意味 |
|---|---|---|
| 気が置けない | 遠慮や気遣いがいらず打ち解けられる | 油断できない・気を許せない |
| 煮詰まる | 議論が出尽くして結論が出る段階に近づく | 行き詰まって良案が出ない |
| 役不足 | 実力に対して役目が軽すぎる | 実力不足・荷が重い |
| 檄を飛ばす | 自分の主張を広く知らせ同意・決起を促す | 元気のない人を励ます |
| 敷居が高い | 不義理をして相手の家へ行きづらい | 高級・上品で入りにくい |
| 失笑する | こらえきれず思わず笑ってしまう | あきれて笑えない・冷笑する |
| 姑息 | その場しのぎ・一時の間に合わせ | 卑怯・ずるい |
| 破天荒 | 誰も成し得なかったことを初めて行う | 豪快で大胆な様子 |
| 確信犯 | 正しいと信じて行う行為 | 悪いと分かったうえでする |
| さわり | 話の要点・聞かせどころ | 話の最初・出だしの部分 |
| 流れに棹さす | 流れに乗って物事を順調に進める | 流れに逆らう・勢いをそぐ |
| 情けは人のためならず | 人への親切は巡って自分に返る | 情けはその人のためにならない |
| 潮時 | ちょうど良い時機・好機 | 物事の終わり・引き際 |
| なし崩し | 物事を少しずつ片付けていく | うやむやにする |
| 御の字 | 大いにありがたく満足できる | 一応許せる・まあまあ |
| 浮き足立つ | 不安や恐れで落ち着かなくなる | 期待でうきうきする |
| 琴線に触れる | 深く感動・共鳴する | 怒りを買う・神経を逆なでする |
| 圧巻 | 全体の中で最も優れた部分 | 全体が圧倒的に素晴らしいこと |
共通する見抜き方:「成り立ち(漢字・語源)」に戻ると本来の意味が出る。「役不足=役が不足」「敷居が高い=敷居(しきい)をまたぎにくい」のように、字面どおりに分解すると誤解の上書きを外せます。
カタカナ語:出るのは「一般語」が中心
語句の意味は漢語・和語・慣用句が中心ですが、横文字が出ることもあります。出題されるのは、日常でも目にする一般的なカタカナ語が中心。似た外来語との混同を狙うひっかけが多いので、意味とセットで押さえておきましょう。
| カタカナ語 | 意味 |
|---|---|
| ジレンマ | 二者択一の板挟み・どちらも選びにくい状態 |
| ニュアンス | 言葉や表現の微妙な意味合い |
| アイロニー | 遠回しの皮肉・反語 |
| パラドックス | 一見矛盾するが筋が通っている逆説 |
| アイデンティティ | 自分が自分であるという独自性・存在の証し |
| モチーフ | 作品の主題・繰り返し現れる中心的な題材 |
| ステレオタイプ | 型にはまった画一的な見方・固定観念 |
| タブー | 触れてはいけないとされる禁忌 |
| ノルマ | 課された一定の仕事量・達成基準 |
| ナイーブ | 純粋で傷つきやすい・繊細なさま |
参考:ビジネスで使う横文字(SPIより一般常識・企業独自テスト向き)
コンセンサス・アジェンダのような職場のビジネス用語は、SPI3の語句の意味で「定番」とは言いにくいジャンルです。どちらかといえば一般常識テストや企業独自の筆記、面接・入社後で役立つ言葉。SPI対策としては優先度を下げ、余裕があれば押さえる程度で十分です。
| カタカナ語 | 意味 |
|---|---|
| コンセンサス | 意見の一致・合意 |
| プライオリティ | 優先順位・優先度 |
| アジェンダ | 議題・検討課題(の一覧) |
| エビデンス | 証拠・根拠 |
| ペンディング | 保留・先送り |
| アサイン | 任命・割り当て |
| リソース | 資源(人員・時間・資金) |
| ボトルネック | 全体の進行を妨げる制約箇所 |
知らない語はこう消す:消去法の手順
初見の語が出ても、選択肢を一気に2択へ絞れれば正答率は跳ね上がります。消す順番を決めておきましょう。
- 意味が真逆・無関係なものから消す … 問われた意味と方向が逆(プラスとマイナスが逆)の選択肢を最初に外す
- プラス/マイナスの色を合わせる … 褒め言葉を問われているのに悪い意味の語、その逆をはじく
- 漢字の構成から外れるものを消す … 熟語なら、意味の核になる字(例:填=埋める)を含まない選択肢を落とす
- 品詞・係り受けで合わないものを消す … 例文に当てはめて日本語として不自然なものを外す
- 残った2択は「違う字」で詰める … 補強と補填のように共通字がある語は、違うほうの字の意味で決める
多義語問題なら、まず元の文を平易に言い換えてからこの手順に入ると、照合がぶれません(例③・⑤の解き方)。
語彙の増やし方:すきま時間の習慣
語彙は一度に詰め込むより、触れる回数で定着します。細切れ時間を味方につけましょう。
- 誤用されやすい言葉を優先する … 出題者は「差がつく語」を選ぶ。正答率が割れる誤用系・使い分け系が狙い目
- 漢字1字の意味から推測する癖をつける … 「填=埋める」を知っていれば「補填」は初見でも推測できる。この力は熟語の成り立ちの対策と直結する
- 出会った語をその場で覚える … 単語帳を別に作るより、演習で間違えた語をすぐ確認するほうが記憶に残る
- 通学・通勤の数分で1セットだけ回す … 「朝の電車で5問」のように回数を刻む。間違えた語はスクショやメモにして、寝る前に見返すと定着が早い
- 意味の似た語をペアで覚える … 「補填/代替」「ジレンマ/パラドックス」のように紛らわしい組で押さえると、選択肢で迷わなくなる。語の関係を整理する二語の関係の対策とも相性がよく、語感が長文読解の速読にも効いてきます
検査全体の構成は、公式のSPI情報サイトや、提供元リクルートマネジメントソリューションズの就職準備応援サイトでも確認できます。
アプリ「AIナビスタ」なら、語句の意味の頻出パターンをすきま時間に演習できます。紛らわしい語のニュアンスの違いはその場でAIに質問して、納得してから次に進めます。収録は2,500問以上、ダウンロードは無料で、3日間は無料で試せます(以降は月額)。9年運営・累計約3,000人を指導してきた個別指導塾MARTHA監修の演習で、頻出語からコツコツ仕込んでいきましょう。
まとめ
- 語句の意味は知識問題。考えるより先に、頻出語を覚えたかどうかで決まる
- 狙われるのは誤用しやすい慣用句(気が置けない・煮詰まる・役不足など)・似た熟語の使い分け・多義語の用法。カタカナ語は出ても一般的な言葉が中心
- 誤用語は本来の意味で出るので、「成り立ち」に戻して正しい意味で覚える
- 知らない語は漢字1字の意味から推測+消去法。多義語は言い換えてから照合
語彙は積み上げた分だけ確実に得点になります。まずは無料で、頻出語の演習から始めてみましょう。