玉手箱の言語の中心は論理的読解(GAB形式)です。本文を読み、各設問が「A:本文から論理的に考えて明らかに正しい/B:本文から論理的に考えて明らかに間違っている/C:本文だけでは判断できない」のどれに当たるかを3択で選びます。ここで効くのは読解力そのものより、自分の常識ではなく、本文に書いてあることだけを根拠に判断するという割り切りです。最大の失点源は、常識的に正しそうだからと推測を足して、Cを選ぶべき場面でAを選んでしまうこと。ここでは短い本文+設問1つのセットを5問用意しました。まず自分でA・B・Cを決めてから、「解答・解説を見る」で答え合わせをしましょう。

ここで紹介する例題は、玉手箱の実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です(玉手箱に公式の過去問は存在しません)。A/B/C判定の型は「玉手箱の言語の解き方」で解説しています。

例題① 図書館の貸出ルール:本を借りられないと言えるか

本文 この図書館で本を借りられるのは、貸出カードを持っている人だけである。貸出カードを持っているのは、市内に住んでいる人か、市内の学校に通っている人のいずれかである。

設問:市内に住んでおらず、市内の学校にも通っていない人は、この図書館で本を借りることができない。

A:明らかに正しい B:明らかに間違っている C:本文だけでは判断できない

解答・解説を見る

答え:A

  1. 本文の1文目:「本を借りられるのは、貸出カードを持っている人だけ」→ 本を借りられる人は、必ず貸出カードを持っています。
  2. 本文の2文目:「貸出カードを持っているのは、市内に住んでいる人か、市内の学校に通っている人のいずれか」→ カードを持っている人は、必ず「市内在住」か「市内通学」のどちらかに当てはまります。
  3. 設問の人は、市内在住でも市内通学でもありません。2文目から、この人は貸出カードを持っていないことになります。
  4. カードを持っていなければ、1文目から本を借りられない。よって設問は本文から必然的に導けるので A:明らかに正しい

ここで足したものは何もありません。本文の2文をつないだだけで、常識も推測も使っていない点がポイントです。

Aになるのは「本文にそのまま書いてある」場合だけではありません。本文の記述だけから、ほかの結論があり得ない形で導けるなら、それもAです。「書いていないからC」と反射的に処理せず、本文の複数の文をつなぐと決まらないかを先に確かめましょう。

例題② LED照明と電気使用量:減った理由は特定できるか

本文 あるオフィスビルでは、2024年に館内の照明をLEDに切り替えた。2024年のビル全体の電気使用量は、2023年より少なかった。管理会社は、来年度に空調設備を更新する予定である。

設問:このビルの電気使用量が減ったのは、照明をLEDに切り替えたためである。

A:明らかに正しい B:明らかに間違っている C:本文だけでは判断できない

解答・解説を見る

答え:C

  1. 設問が言っているのは、電気使用量が減った原因はLED化である、という因果関係です。
  2. 本文にあるのは、「2024年にLEDへ切り替えた」「2024年の電気使用量は2023年より少なかった」という2つの出来事が並んでいるという事実だけ。どちらが原因でどちらが結果かは、本文は一言も述べていません。
  3. 電気使用量が減った理由が、ビルを使う人が減ったからなのか、別の要因なのかは本文からは分かりません。→ Aとは言えない
  4. かといって、本文は「LEDのおかげではない」とも書いていません。だから設問が間違っているとも言い切れません。→ Bでもない
  5. 正しいとも間違っているとも本文からは決められないので C:本文だけでは判断できない

ここが論理的読解の急所です。「LEDにすれば電気代は下がるはず」という自分の常識を足した瞬間にAを選んでしまいます。ですが玉手箱が聞いているのは「世の中でそれが正しいか」ではなく「本文がそれを裏づけているか」だけ。

覚えておきたい型は、「Aの後にBが起きた」は「AがBの原因だ」を意味しないということ。前後関係と因果関係は別物です。「〜したところ、〜になった」という並びを見たら、原因だと本文が明言しているかを必ず確認しましょう。明言がなければCです。

例題③ 町の資源回収:古紙はいつ回収されるか

本文 ある町の資源回収では、缶と瓶を毎週火曜日に回収する。古紙は月に一度だけ、第一金曜日に回収する。ペットボトルは回収の対象外で、住民は店頭の回収箱に持ち込んでいる。

設問:この町では、古紙は毎週金曜日に回収されている。

A:明らかに正しい B:明らかに間違っている C:本文だけでは判断できない

解答・解説を見る

答え:B

  1. 設問の内容(古紙の回収日)の根拠を本文から探すと、2文目に「古紙は月に一度だけ、第一金曜日に回収する」とあります。
  2. 設問は「古紙は毎週金曜日に回収されている」。毎週金曜日なら回収は月に4回前後になり、本文の「月に一度だけ」と両立しません。
  3. 本文の記述と正面から食い違うので B:明らかに間違っている

引っかかりやすいのは、「金曜日」という言葉が本文にもそのまま出てくることです。同じ言葉が本文にあっても、一致とは限りません。頻度(毎週/月に一度)や範囲(すべて/一部)を表す言葉まで含めて照合するのが鉄則です。1文目の「毎週火曜日」に引きずられて、古紙の「月に一度だけ」を読み飛ばすのも典型的なミスです。

ちなみに、同じ本文で設問が「この町では、ペットボトルは資源回収では回収されない」なら、本文に「回収の対象外」とあるので A。「この町の住民は、店頭の回収箱以外にペットボトルを出す方法がない」なら、本文は住民の行動を述べているだけで他の方法の有無に触れていないので C です。設問ごとに、根拠になる一文まで戻って照合しましょう。

例題④ オンライン講座の修了証:全部視聴した人はどうなるか

本文 あるオンライン講座では、修了証を受け取った受講者は、全10回の講義をすべて視聴している。講義をすべて視聴した受講者には、最終課題の提出が案内される。

設問:全10回の講義をすべて視聴した受講者は、修了証を受け取っている。

A:明らかに正しい B:明らかに間違っている C:本文だけでは判断できない

解答・解説を見る

答え:C

  1. 本文の1文目が述べているのは、「修了証を受け取った → すべて視聴している」という向きの関係です。
  2. 設問が主張しているのは、「すべて視聴した → 修了証を受け取っている」という逆向きの関係。本文からこの向きは導けません。「修了証をもらった人は全部見ている」は言えても、「全部見た人が全員もらえる」とは限らないからです(すべて視聴したが修了証は受け取っていない人がいても、本文とは矛盾しません)。→ Aとは言えない
  3. では B かというと、そうでもありません。本文は「すべて視聴しても修了証は出ない」とは書いていないからです。2文目に「最終課題の提出が案内される」とはありますが、課題の提出が修了証の条件だとは本文のどこにも書かれていません。案内されるだけで修了証がもらえるのかどうかも不明です。→ Bとも言い切れない
  4. 正しいとも間違っているとも決められないので C:本文だけでは判断できない

「PならばQ」と「QならばP」は、まったく別の主張です。本文が片方の向きしか言っていないのに、設問がひっくり返してきたら、多くの場合 C になります。設問を読んだら、本文はどちら向きに書いてあるかを必ず指差し確認しましょう。

なお、この本文で設問が「修了証を受け取った受講者は、第1回の講義を視聴している」なら、「全10回をすべて視聴している」に第1回も含まれるので A です。向きが本文と同じなら素直にAになります。

例題⑤ スポーツクラブの会員数:最も少なかったのはいつか

本文 あるスポーツクラブの年度末の会員数は、2022年は2021年より減少した。2023年は2022年より増加した。ただし2023年の会員数は、2021年の水準には届いていない。

設問:2021年・2022年・2023年の3年のうち、このクラブの年度末の会員数が最も少なかったのは2022年である。

A:明らかに正しい B:明らかに間違っている C:本文だけでは判断できない

解答・解説を見る

答え:A

  1. 本文の1文目:2022年は2021年より減少 → 2022年 < 2021年
  2. 本文の2文目:2023年は2022年より増加 → 2022年 < 2023年
  3. 2022年は、2021年よりも2023年よりも少ない。よって3年のうち最も少ないのは2022年で確定 → A:明らかに正しい
  4. 3文目の「2023年は2021年の水準に届いていない(2023年 < 2021年)」は、この設問には使いません。3年の順位は「2022年 < 2023年 < 2021年」と決まりますが、設問が聞いているのは最も少ない年だけなので、1・2文目だけで答えが出ます。

この問題の落とし穴は、Cの選びすぎです。本文には具体的な人数が1つも書かれていないため、「数字がないから判断できない」とCを選びたくなります。ですが設問が聞いているのは人数ではなく、どの年が最も少なかったかという大小関係だけ。増えた・減ったという記述だけで一意に決まるので、堂々とAを選べます。

Cは「本文に根拠がない」ときの答えであって、「数字が書いていない」「すぐに分からない」ときの答えではありません。ここを取り違えると、今度はAで取れる問題を落とします。

もっと解きたくなったら

論理的読解は、本文に根拠が無ければC・一致ならA・矛盾ならBという切り分けを、考えずに出せる状態にするだけで正答率が変わります。今回の5問で確認したかったのは、次の2つのバランスです。

  • 推測を足さない:「常識では正しそう」(例題②)「本文と逆向き」(例題④)はC。書いていないことは判断しない
  • 導けるものは導く:「本文の2文をつなげば決まる」(例題①)「数字がなくても大小は決まる」(例題⑤)はA。Cに逃げない

A/B/C判定の型と時間配分は「玉手箱の言語の解き方」に、趣旨判定・趣旨把握を含む言語3形式や計数・英語の例題は「玉手箱の練習問題で型を覚える」にまとめています。

アプリ「AIナビスタ」なら、玉手箱・GABの論理的読解の判定問題を繰り返し演習できます。AかCかで迷った問題は、その場でAIに質問して「なんとなく」で済ませずに進められます。