玉手箱の表の空欄推測は、計数3形式の中で最も難しいとされます。理由は計算の重さではなく、「どんな規則で数値が並んでいるか」を自分で見つけなければならないこと。四則逆算や図表の読み取りと違い、使うべき式が示されないからです。だからこの形式の攻略は、ひらめきを待つことではなく、仮説を試す順番を決めておくことに尽きます。ここでは、縦の差・2列の和・増加率・2列の積・在庫の増減と、5つの別テーマで解答・解説つきの5問を用意しました。まず自分で解いてから、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしましょう。
ここで紹介する例題は、玉手箱の実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です(玉手箱に公式の過去問は存在しません)。規則性パターンの分類は「玉手箱・表の空欄推測の解き方とコツ」で詳しく解説しています。
表の空欄推測は、広く知られている標準的な版で20分・20問(1問あたり約1分)とされますが、企業によって問題数や制限時間が異なる版もあるため一律ではありません。なお、電卓は自宅などのPCで受ける自宅受検型(Webテスト)では使用可、テストセンターで受けるC-GABでは使用不可(筆算)です。
表を見たら、この順に疑う(探索の手順)
規則探しで最も時間を溶かすのは、当てずっぽうに数字を眺めることです。そうならないよう、表を見た瞬間に投げる質問をあらかじめ固定しておきます。本記事の5問は、すべてこの手順で解きます。
| 順番 | 投げる質問 | 具体的にやること |
|---|---|---|
| ① 縦(列)を見る | 上から下へ、差か比は一定か? | 同じ列を上下になぞり、引き算 → ダメなら割り算 |
| ② 横(行)を見る | 左から右へ、差か比は一定か? | 同じ行を左右になぞり、引き算 → ダメなら割り算 |
| ③ 列どうしを組み合わせる | 和・差・積・比で別の列になるか? | A+B=C、A×B=C などを1行で試し、他の行で確認 |
| ④ 合計・平均・構成比を疑う | 合計が一定か、全体に対する割合が一定か | 行や列を足してみる、全体で割ってみる |
| ⑤ 検算する | 空欄以外の全部で成り立つか? | 見つけた規則を残りの行・列すべてに当てる |
①〜④は必ずこの順で回します。単純な関係ほど出題されやすいので、いきなり複雑な式を考えるのは遠回りです。そして⑤の検算が本命——1か所だけ見て「差は3だ」と決めた瞬間が、この形式で最も事故が起きるポイントです。2か所以上、できれば空欄以外のすべてで成り立って初めて確定と考えましょう。
例題① 基本:縦の差が一定
下の表は、ある美術館の月別・1日あたり平均入館者数(人)です。?に入る数値を求めなさい。
月 平日 休日 4月 1,240 2,600 5月 1,390 2,780 6月 1,540 2,960 7月 1,690 ? (選択肢:ア 3,020/イ 3,110/ウ 3,140/エ 3,320)
解答・解説を見る
答え:ウ 3,140
手順①「縦を上から下へ、差は一定か?」から入ります。まず空欄のない平日の列で規則を探すのが定石です。空欄のある列だけを見ても、規則が正しいかどうか確かめようがないからです。
- 平日の列を上から引き算:1,390 − 1,240 = 150、1,540 − 1,390 = 150、1,690 − 1,540 = 150 → 差が一定
- 同じ目で休日の列を見る:2,780 − 2,600 = 180、2,960 − 2,780 = 180 → こちらも差が一定(ただし公差は150ではなく180)
- ? = 2,960 + 180 = 3,140
検算:休日の列を全部並べ直すと 2,600 → 2,780 → 2,960 → 3,140 で、差はすべて180 ✓。念のため別の見方でも確かめます。各月の「休日 − 平日」は 1,360/1,390/1,420 と30ずつ増えているので、7月は1,450 → 1,690 + 1,450 = 3,140 ✓。さらに月ごとの合計 3,840/4,170/4,500 は330ずつ増えるので、7月は4,830 → 4,830 − 1,690 = 3,140 ✓。3通りの見方が同じ値に着地したので確定です。
急所:選択肢イの3,110は、平日の公差150を休日の列にそのまま当てはめた値(2,960 + 150)です。「差が一定」という規則は列ごとに成り立ちますが、その差の大きさまで同じとは限りません。列が変わったら公差を測り直す——これが縦の関係の基本です。
例題② 2列の和が別の列になる
下の表は、あるベーカリー3店舗の曜日別販売個数(個)です。?に入る数値を求めなさい。
曜日 東店 西店 南店 月曜 180 140 320 火曜 210 155 365 水曜 165 190 355 木曜 195 175 ? (選択肢:ア 340/イ 355/ウ 370/エ 385)
解答・解説を見る
答え:ウ 370
手順どおり、①縦 → ②横 → ③組み合わせと順に潰していくのがこの問題の学びどころです。
- ① 縦を見る:東店は 180 → 210 → 165 → 195 で、差は +30、−45、+30 とバラバラ。西店も 140 → 155 → 190 → 175 で規則なし。比を取っても揃いません → 縦は空振り
- ② 横を見る:月曜は 180 → 140 → 320(−40、+180)、火曜は 210 → 155 → 365(−55、+210)。差も比も一定ではない → 横も空振り
- ③ 列どうしを組み合わせる:月曜で試すと 180 + 140 = 320 = 南店。つまり南店 = 東店 + 西店の仮説が立つ
- ⑤ 検算:火曜 210 + 155 = 365 ✓、水曜 165 + 190 = 355 ✓。空欄以外のすべての行で成り立った
- ? = 195 + 175 = 370
検算:木曜の南店を370とすると、東店195 + 西店175 = 370 ✓。また「3店の合計」を見ると 640/730/710 で、これは各行の南店(320/365/355)のちょうど2倍。木曜も 370 × 2 = 740 = 195 + 175 + 370 ✓ と辻褄が合います。
急所:「なぜ南店の販売個数が東店+西店になるのか」という意味を考える必要はありません。空欄推測が問うのは数値の関係だけで、現実的にありえるかどうかは関係しません。意味を詮索し始めると時間が溶けます。また、縦と横が空振りしても焦らないこと。ここまでは想定内で、③の組み合わせが本命というだけです。空振りは失敗ではなく、候補を1つ消せた前進と捉えましょう。
例題③ 差ではなく比:増加率が一定
下の表は、あるオンライン学習サービスの年度別 有料会員数(人)です。?に入る数値を求めなさい。
年度 Aプラン Bプラン 2022年度 2,000 640 2023年度 2,400 800 2024年度 2,880 1,000 2025年度 3,456 ? (選択肢:ア 1,200/イ 1,250/ウ 1,300/エ 1,350)
解答・解説を見る
答え:イ 1,250
手順①のうち、「差は一定か?」がダメなら、同じ列で「比は一定か?」に進む——この二段構えが分かれ目です。
- 差を試す:Aプランは +400、+480、+576。Bプランは +160、+200、+250。どちらも一定ではない → 差は空振り
- 同じ列で比を試す:Aプランは 2,400 ÷ 2,000 = 1.2、2,880 ÷ 2,400 = 1.2、3,456 ÷ 2,880 = 1.2 → 毎年20%増で一定
- Bプランにも同じ目を当てる:800 ÷ 640 = 1.25、1,000 ÷ 800 = 1.25 → こちらは毎年25%増
- ? = 1,000 × 1.25 = 1,250
検算:Bプランを頭から並べ直します。640 × 1.25 = 800 ✓、800 × 1.25 = 1,000 ✓、1,000 × 1.25 = 1,250 ✓。空欄以外のすべてで25%増が成り立ちました。念のため列どうしの比(Bプラン ÷ Aプラン)も見ておくと、0.32/0.333…/0.347…と一定ではないので、「2列の比」の規則ではないことも確認できます ✓。
急所:選択肢アの1,200は、Bプランの差(+200)を一定と誤って当てはめた値(1,000 + 200)です。増加率が一定の列は、差が +160 → +200 → +250 とだんだん大きくなるのが合図。「差が一定ではないが、増え方がじわじわ加速している」と見えたら、迷わず割り算に切り替えてください。なお例題①と同じく、列が変われば増加率も変わります(Aは1.2倍、Bは1.25倍)。列ごとに測り直すのが鉄則です。
例題④ 2列の積が別の列になる(%が混じる)
下の表は、ある劇場チェーンの会場別 公演データです。?に入る数値を求めなさい。
会場 座席数(席) 稼働率(%) 販売席数(席) A会場 1,200 85 1,020 B会場 800 75 600 C会場 1,500 60 900 D会場 950 80 ? (選択肢:ア 720/イ 760/ウ 790/エ 830)
解答・解説を見る
答え:イ 760
- ① 縦を見る:座席数は 1,200 → 800 → 1,500 → 950、稼働率は 85 → 75 → 60 → 80。どちらも差・比ともに規則なし → 縦は空振り
- ② 横を見る:「販売席数 − 座席数」は −180、−200、−600 でバラバラ → 差は空振り
- ③ 列どうしを組み合わせる:差がダメなら比を試します。A会場で 1,020 ÷ 1,200 = 0.85 → 稼働率の85(%)と一致。つまり販売席数 = 座席数 × 稼働率
- ⑤ 検算:B会場 800 × 0.75 = 600 ✓、C会場 1,500 × 0.60 = 900 ✓。空欄以外のすべての行で成り立った
- ? = 950 × 0.80 = 760
検算:逆算して確かめます。760 ÷ 950 = 0.8 = 80%で、表のD会場の稼働率と一致します ✓。
急所:%の列は必ず小数に直してから掛けること。85のまま掛けると桁が2つずれます。また、この問題のように規則が「他の列に答えが書いてある」タイプ(稼働率=販売席数 ÷ 座席数)は、③で比を取った結果が別の列の数値と一致していないかを見ると一瞬で気づけます。「割ったら見覚えのある数字が出た」は、規則を掴んだ合図です。
時短のコツ:950 × 0.8 は「950 の8割」と読み替えると、950 − 950 × 0.2 = 950 − 190 = 760 と暗算できます。C-GABのように電卓が使えない方式では、こうした読み替えがそのまま時間になります。
例題⑤ 応用:複数の列を組み合わせ、空欄を逆算する
下の表は、ある倉庫の月別 在庫データ(トン)です。?に入る数値を求めなさい。
月 前月末在庫 入庫 出庫 月末在庫 4月 120 260 240 140 5月 140 310 280 170 6月 170 240 290 120 7月 120 330 ? 155 (選択肢:ア 175/イ 275/ウ 295/エ 450)
解答・解説を見る
答え:ウ 295
列が4つに増え、しかも空欄が「答えの列」ではなく式の途中にあるのが応用ポイントです。それでも手順は変わりません。
- ① 縦を見る:入庫は 260 → 310 → 240 → 330、出庫は 240 → 280 → 290 と規則なし → 縦は空振り
- ② 横を見る:4月を左から追うと 120 → 260 → 240 → 140。差も比も一定ではない → 空振り
- ③ 列どうしを組み合わせる:2列で足りなければ3列を使います。4月で試すと 120 + 260 − 240 = 140 = 月末在庫。つまり月末在庫 = 前月末在庫 + 入庫 − 出庫
- ⑤ 検算:5月 140 + 310 − 280 = 170 ✓、6月 170 + 240 − 290 = 120 ✓。空欄以外のすべての行で成り立った
- 空欄を逆算:7月は 120 + 330 − ? = 155。左の2つを先にまとめて 450 − ? = 155 → ? = 450 − 155 = 295
検算:求めた295を式に戻します。120 + 330 − 295 = 155 で、表の7月の月末在庫と一致 ✓。
急所:選択肢のアとエが、途中で止まった値です。エの450は「120 + 330」で引き算を忘れた値、アの175は「330 − 155」で前月末在庫の120を式に入れ忘れた値。空欄が式の途中にあるときは、必ず規則の式を先に書いてから空欄を移項する——手順を飛ばして暗算に走ると、この2つのどちらかに着地します。
もう一つの発見の入口:この表には縦にも隠れた関係があります。4月の月末在庫140が5月の前月末在庫140に、5月の170が6月の170に、6月の120が7月の120に——そのまま引き継がれているのが見えるでしょうか。「同じ数字が斜めに繰り返し現れる」のは、列どうしが1つの流れでつながっているサインです。この構造に気づけると、「月末在庫は前月末在庫から出発して増減した結果だ」という仮説に最短で届きます。表の中に同じ数字が2回出てきたら、その2列の関係を疑う——空欄推測ではよく効く着眼点です。
もっと解きたくなったら
表の空欄推測は、①縦 → ②横 → ③列の組み合わせ → ④合計・平均 → ⑤全行で検算という同じ手順を、表が変わっても淡々と回すだけです。5問を振り返ると、①で決まったのは例題①と例題③(①の中で「差」が空振りしても「比」で決着)、残る3問は②までが空振りして③で決着しました。空振りは織り込み済み——それでも順番を守るから、迷子にならずに規則へ届きます。あとは数をこなして「規則を探す目」を鍛えるだけです。
規則性パターンの分類表と探し方の全体像は「玉手箱・表の空欄推測の解き方とコツ」に、四則逆算・図表・言語・英語まで含めた全形式の型は「玉手箱の練習問題で型を覚える」にまとめています。
アプリ「AIナビスタ」なら、玉手箱・GABの頻出パターンに沿った問題を形式別に反復でき、「どこから疑えばよかったのか」で迷ったときは、その場でAIに質問できます。