SPIの言語には、文章の空所を埋める形式がいくつかあります。複数の語を空欄に振り分ける「適語の補充」、1か所に語句を入れる「空欄補充」、空所に一文を入れる「適文の補充」。呼び名は違っても、見るべき場所はどれも同じで、空所の前後がどうつながっているかという一点に尽きます。ここでは3つの形式を5問にまとめました。まず自分で解いてから、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしましょう。
ここで紹介する例題は、SPIの実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です。言語分野全体の解き方は「SPIの言語(国語)対策」にまとめています。
空所を埋めるとき、実際に確かめることは2つだけです。ひとつは、空所の前と後ろの関係が順接なのか逆接なのか、抽象から具体へ進んでいるのか、定義とその具体例なのかというつながりの向き。もうひとつは、空所の直後にある述語や指示語がどんな内容を要求しているかです。「〜からだ」で終わる文が続くなら空所には主張が入りますし、「その結果」と続くなら空所には原因が入ります。この2点は形式が変わっても変わりません。
なお、長い文章の途中に接続語そのものの空欄が置かれる出題は、SPI長文読解の練習問題のほうで扱っています。このページは、短い文章だけで完結する空所補充を集めました。
例題① 適語の補充:確信のある1つから埋めて消去法
次の文章の[ア]〜[ウ]に入る言葉を、A〜Cから1つずつ選びなさい。同じ言葉は一度しか使えません。
「写真は、目の前の光景を機械的に[ア]するだけの装置だと思われている。しかし、どこにレンズを向けるかを決めた時点で、撮り手は何を写し何を写さないかを[イ]している。だから写真には、撮った人の関心が必ず[ウ]される。」
A 選択 B 反映 C 記録
解答・解説を見る
答え:ア=C、イ=A、ウ=B(記録・選択・反映)
- まずいちばん確信が持てる空欄から手をつける。[イ]の直前は「何を写し何を写さないかを」で、これは取捨そのもの → 選択で確定
- 残るはBとCの2つ。[ア]は「機械的に〜するだけの装置」で、機械的に記録するとは言っても機械的に反映するとは言わない → 記録
- 最後の[ウ]は自動的にB。「関心が必ず反映される」と入れて読み返し、意味が通ることを確認する
この形式は与えられた語を使い切る決まりなので、1つ決まるたびに残りの候補が減っていきます。自信のない空欄から埋めると連鎖的に外すため、手応えのある空欄を先に固めるのが鉄則です。最後は全部入れた状態で通読して検算しましょう。
例題② 空欄補充(語句):直前の内容の言い換えを探す
次の文章の( )に入る最も適切なものを、1〜6から選びなさい。
「新しい道具は、使い始めのうちは意識の中心にある。ところが十分に使い慣れると、手の延長のようになり、使っていること自体を忘れてしまう。道具が本当に身についたかどうかは、それを( )かどうかで測れる。」
1 正しく持てる 2 意識せずに使える 3 他人に説明できる 4 長く使い続けられる 5 自分で修理できる 6 高価なものに買い替える
解答・解説を見る
答え:2(意識せずに使える)
- 空所の前を確認する。「使い慣れると手の延長のようになり、使っていること自体を忘れてしまう」
- 空所を含む文は「身についたかどうかは、それを( )かで測れる」となっており、前の内容を言い直す形になっている
- 「使っていること自体を忘れる」を測れる形に置き換えると、意識せずに使えるとなる → 2
3の「他人に説明できる」は言語化の話で、本文が言う「忘れてしまう」状態とはむしろ逆向きです。4や5は道具との付き合い方ではあっても、習熟の度合いを測る基準としては本文に出てきません。本文にない話を持ち込んだ選択肢は切ります。
例題③ 空欄補充(語句):2か所同時型は片方を先に確定させる
次の文章の( ① )( ② )に入る言葉の組み合わせとして最も適切なものを、1〜5から選びなさい。
「天気予報の『降水確率30%』を、多くの人は『たぶん降らないだろう』と( ① )に受け取っている。しかし本来は、同じ気象条件が100回あればそのうち約30回で雨が降る、という( ② )な割合を表している。」
1 客観的・主観的 2 感覚的・統計的 3 統計的・感覚的 4 主観的・断定的 5 悲観的・楽観的
解答・解説を見る
答え:2(感覚的・統計的)
- 2か所あるときは、根拠がはっきりしているほうから決める。ここでは②の直前に「100回あればそのうち約30回」という数の話があるので、②は統計的
- ②が統計的なのは2だけ。この時点で1・3・4・5は消える
- 念のため①を確認する。「たぶん降らないだろう」は数に基づかない受け取り方なので、感覚的で合う
4は①の「主観的」だけを見ると成立しそうですが、②に入れると「断定的な割合」となり、後ろの名詞に係りません。1と3は前後が入れ替わっており、5は本文にない評価の話です。組み合わせ問題は片方が決まれば一気に絞れるので、迷うほうは後回しにしましょう。
例題④ 適文の補充:空所の後ろが求めている「理由」を入れる
次の文章の( )に入る最も適切な一文を、ア〜エから選びなさい。
「新しい制度をつくるとき、私たちはつい細かな規則を増やしてしまう。想定外の事態が起きるたびに条文を足していけば、たしかに抜け穴は減る。だが、( )ため、かえって現場は動きにくくなる。実際、規則が多い職場ほど、判断に迷って上司に確認する回数が増えるという話をよく聞く。」
ア 規則の数が増えると管理する側の負担も大きくなる
イ 一つひとつの規則が何のためにあるのかが見えにくくなる
ウ 想定外の事態そのものを減らすことはできない
エ 現場の担当者は規則を読まないことが多い
解答・解説を見る
答え:イ
- 空所の直後は「ため、かえって現場は動きにくくなる」。つまり空所には、現場が動きにくくなる理由が入ると決まる
- さらに次の文の具体例を見る。「判断に迷って上司に確認する回数が増える」は、自分では判断できない状態を指している
- 自分で判断できないのは、規則が何のためにあるのか見えていないからである → イを入れると、理由と具体例が一本の線でつながる
アは管理する側の話で、現場が動きにくくなる理由にはなりません。ウは内容として正しくても、現場が動きにくくなる理由の説明にはなっていません。エは条文を足した結果として述べられている話ではなく、しかも次の文の「判断に迷って」は担当者が規則を当てはめようとしている状態を指すので噛み合いません。空所の直後の一語で、入るべき中身の種類が決まります。
例題⑤ 適文の補充:前が否定、後ろが理由なら逆接の主張が入る
次の文章の( )に入る最も適切な一文を、ア〜エから選びなさい。
「昔の職人は、技術を言葉で教えることをしなかった。弟子は親方の手元をひたすら見て、自分で盗むしかなかった。この方法は非効率で、覚えるまでに長い年月を要する。( )。手順を言葉にした瞬間に抜け落ちてしまう、力の加減や間合いのようなものが、体を通してだけ伝わることがあるからだ。」
ア だから、技術はできるだけ早く言語化して共有すべきである
イ とはいえ、この教え方が残ってきたことには理由がある
ウ つまり、職人の世界には合理性がまったくなかった
エ そのため、弟子は親方に質問することを禁じられていた
解答・解説を見る
答え:イ
- 空所の前は「非効率で、長い年月を要する」という否定的な評価
- 空所の後ろは「〜からだ」で終わる理由の文。理由が述べられる以上、空所にはその理由に支えられる主張が入る
- 後ろの理由は「体を通してだけ伝わることがある」で、この教え方を肯定する内容。前が否定、後ろが肯定なので、間には逆接が必要 → 「とはいえ」で始まるイ
アは前の否定をそのまま引き継ぐ順接で、後ろの肯定的な理由とぶつかります。ウは「まったく」という言い過ぎで、しかも後ろの文が説明する内容と正反対です。エは事実の追加であって、直後の「からだ」が説明する相手になりません。接続語つきの選択肢は、その接続語が前後の向きに合うかを先に見ると一気に減らせます。なお、接続語そのものを選ぶ形式はSPI長文読解の練習問題で扱っています。ここでは接続語つきの一文をまるごと選ぶ点が違います。
もっと解きたくなったら
空所を埋める問題は、語を入れるのか一文を入れるのかにかかわらず、空所の前後のつながりと、直後の述語が要求する中身を確かめる手順で解けます。知らない話題が出ても、この2点は本文の中だけで確認できるので、初見の文章でも対応しやすくなります。言語分野全体の対策は「SPIの言語(国語)対策」に、長文の中で問われる接続語の空欄はSPI長文読解の練習問題にまとめています。
アプリ「AIナビスタ」なら、空所補充の3形式をまとめて演習できます。「なぜこの語では駄目なのか」が納得できないときは、その場でAIに質問して、前後関係の読み方ごと身につけられます。