SPIの非言語で土台になるのが、等式の中の x を求める計算です。見るべき場所はいつも同じで、x のない側を先に1つの数にまとめること。左右のどちらかが「24」や「0.54」のような数字ひとつになれば、あとは足す・引く・掛ける・割るのどれで戻すかを選ぶだけになります。SPIでは方程式が単独の科目として出るというより、速さや損益算の文章題を式に直したあとの処理として顔を出します。つまりここが崩れると、立式が正しくても答えが合いません。

ここで紹介する例題は、SPIの実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です。非言語全体の頻出パターンは「SPIの頻出問題と解き方」にまとめています。

なお、裸の等式から x を求める形式を「四則逆算」と呼ぶことがありますが、これは玉手箱の計数で使われる区分名で、SPIに同じ名前の出題区分があるわけではありません。玉手箱を併願する人は「玉手箱の四則逆算の解き方」もあわせてどうぞ。

この単元を速く解く5つの型

どんな式でも、次の5つの型を上から順に当てはめれば手が止まりません。

  1. まず片側を1つの数にまとめる(x のない側を計算しきる)
  2. 小数が混ざったら両辺を10倍・100倍して整数に直す
  3. 分数の割り算はひっくり返して掛け算に変える
  4. 分数が残ったら両辺に同じ数を掛けて分母を消す
  5. 両辺に x があれば移項して片側に集める

型5だけは、型1が最初から使えない形(左右どちらにも x がある式)のための例外ルートです。以下の5問は易しい順に並べ、各解説の冒頭で今回どの型を使ったかを明記しています。まず自分で解いてから、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしましょう。

例題① まとめる:片側を1つの数にしてから逆算する

72 ÷ 3 = x − 5

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答え:29

使った型は1の「まず片側を1つの数にまとめる」だけです。

  1. x のない左側を計算しきる:72 ÷ 3 = 24
  2. 式は 24 = x − 5 になった。ある数から5を引いたら24、という状態
  3. 引き算を戻すので足し算にする:x = 24 + 5 = 29

検算します。72 ÷ 3 = 24、29 − 5 = 24 で両辺が一致します。

引っかけの正体は、左側を計算しないまま式全体を一息に暗算しようとすることです。よくあるのが、5 を引く側だと勘違いして 24 − 5 = 19 としてしまう取り違えと、勝手に括弧を作って 72 ÷(3 + 5)= 9 と計算してしまうケース。どちらも x のない側を先に数字ひとつへ潰していれば起きません。先に潰してから戻す。この順番を固定するだけで、この型のミスはほぼ消えます。

例題② 整数化:小数は100倍して扱いやすくする

0.06 × x = 0.72 − 0.18

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答え:9

型1でまとめてから、型2の「両辺を100倍して整数に直す」を使います。

  1. 右側をまとめる:0.72 − 0.18 = 0.54
  2. 式は 0.06 × x = 0.54。このまま 0.54 ÷ 0.06 としてもよいが、小数の割り算はミスが出やすい
  3. 両辺を100倍する:6x = 54
  4. x = 54 ÷ 6 = 9

検算します。0.06 × 9 = 0.54、0.72 − 0.18 = 0.54 ✓

なぜ他の値にならないか。ここでよく出るのが0.9や90という答えです。0.54 ÷ 0.06 を 54 ÷ 6 = 9 と処理したあとに桁を戻そうとして、余計に10倍したり10分の1にしたりするために起きます。両辺に同じ倍率を掛けている限り桁はずれません。左だけ100倍して右を忘れる、という取りこぼしさえなければ、整数化したあとの答えがそのまま答えです。倍率の決め方は、両辺のうち小数点以下の桁数が多いほうに合わせるだけ。今回は 0.06 も 0.54 もどちらも小数第2位なので100倍です。0.6 × x = 0.54 のように桁数がそろっていない式でも、多いほうの小数第2位に合わせて100倍すれば、60x = 54 と両方まとめて整数になります。

例題③ 逆数:分数の割り算はひっくり返して掛ける

x ÷(4/5)= 0.5 + 0.3

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答え:0.64

型1でまとめてから、型3の「ひっくり返して掛ける」を使います。

  1. 右側をまとめる:0.5 + 0.3 = 0.8
  2. 左側の割り算を掛け算に直す。分数で割ることは逆数を掛けることと同じなので、x × 5/4 = 0.8
  3. 今度は x にくっついた 5/4 を打ち消す番。両辺に 4/5 を掛けて x = 0.8 × 4/5
  4. 0.8 × 4 = 3.2、3.2 ÷ 5 = 0.64

検算します。0.64 ÷(4/5)= 0.64 × 5/4 = 0.8、0.5 + 0.3 = 0.8 ✓

引っかけの正体は、2回出てくる掛け算の役割を取り違えることです。1回目は割り算を掛け算に書き換える操作で、掛ける数は 5/4。2回目はその 5/4 を打ち消して x を裸にする操作で、掛ける数は 4/5 です。役割が違うので、掛ける数が 5/4 から 4/5 へ入れ替わるのが正常な姿。2回とも 5/4 を掛けてしまうと 0.8 × 5/4 = 1 となり、一見きれいな数が出るぶん誤りに気づきにくいので注意してください。迷ったら、求めた値を元の式に戻して検算するのがいちばん確実です。なお、答えを入力する形式では小数と分数のどちらで答えるか迷いますが、設問文の指示に従うのが原則。指定がなければ、割り切れる場合は小数のほうが入力ミスが起きにくくなります。

例題④ 分母払い:両辺に同じ数を掛けて分数を消す

x/4 + x/10 = 7

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答え:20

x が2か所に散らばっているので、型4の「両辺に同じ数を掛けて分母を消す」から入ります。

  1. 分母の4と10の両方で割り切れる数を探す。最小公倍数は20
  2. 両辺に20を掛ける。左側は x/4 × 20 = 5x、x/10 × 20 = 2x。右側は 7 × 20 = 140
  3. 式は 5x + 2x = 140 になった:7x = 140
  4. x = 140 ÷ 7 = 20

検算します。20/4 = 5、20/10 = 2、5 + 2 = 7 ✓

なぜ他の値にならないか。よくある誤答は、右辺の7に20を掛け忘れて 7x = 7、つまり x = 1 としてしまうケースです。両辺に掛けるという言葉のとおり、イコールの右にある数にも同じ20を掛ける。分母払いの事故はほぼこの1点に集中します。もうひとつ、最小公倍数を 4 × 10 = 40 と大きく取っても答えは同じ20になります。数が大きくなるだけで間違いではないので、最小公倍数がすぐ出てこないときは、ひとまず分母どうしを掛けた数を使ってしまって構いません。

例題⑤ 移項:両辺に x があり、しかも小数

0.35 × x + 1.5 = 0.2 × x + 3

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答え:10

左右のどちらにも x があるので型1が使えません。型2で整数に直してから、型5の「移項して片側に集める」で処理します。この単元でいちばん重いのがこの形です。

  1. 小数のまま移項すると符号ミスが増えるので、先に両辺を100倍する:35x + 150 = 20x + 300
  2. x を左に、数字を右に集める。20x を左へ移すと −20x、150 を右へ移すと −150
  3. 左側:35x − 20x = 15x、右側:300 − 150 = 150
  4. 15x = 150 なので、x = 10

検算します。左辺は 0.35 × 10 + 1.5 = 3.5 + 1.5 = 5、右辺は 0.2 × 10 + 3 = 2 + 3 = 5 で一致します ✓

引っかけの正体は、移項したときの符号です。0.35x − 0.2x を暗算で 0.15x と出せても、そのあと 1.5 を右へ移す際に 3 + 1.5 としてしまうと、4.5 ÷ 0.15 = 30 という答えが出ます。移項したら符号は反転すると手を動かして書き換えるのが確実です。先に100倍しておくと 0.15 のような細かい小数を扱わずに済み、この符号の書き換えに集中できます。順番を整数化から移項へ固定するのは、そのためです。

もっと解きたくなったら

x を求める計算は、ひらめきが要らない代わりに、順番を崩すと途端に事故る単元です。片側を1つの数にまとめる、小数は整数に直す、分数の割り算はひっくり返す、分数は両辺に掛けて消す、x が両側にあれば移項する。この5つを上から当てはめる癖がつけば、初見の式でも手が止まりません。

方式によって解き方の最適解が変わる点も押さえておきましょう。Webテスティングは電卓が使えて、答えを選択肢から選ぶのではなく数値を直接入力する形式が多く出ます。選択肢から逆算するという逃げ道が使いにくいぶん、式を整える力がそのまま得点になります。一方でテストセンターとペーパーテスティングでは電卓が使えず、メモ用紙の筆算で処理することになります。電卓が使える場合でも、式を整えずに打ち始めると打ち間違いが増えるので、まとめてから打つという順番自体は共通です。方式ごとの違いは「SPIの受験方式の違い」「SPIの自宅受験(WEBテスティング)」で整理しています。

実際の文章題でこの計算がどこに現れるかは、「速さの解き方」「損益算の解き方」を読むとつかめます。立式までは合っているのに答えが合わない、という人ほど、この単元に戻る価値があります。

アプリ「AIナビスタ」なら、逆算の基本形から両辺に x がある応用まで難易度順に演習でき、つまずいた式はその場でAIに質問して、どの手順で崩れたかを確認できます。