SPIの三文完成は、A〜Eの同じ選択肢群を3つの文で使い回す形式です。だから1問ずつ独立に悩むのではなく、3問をひとまとめのセットとして扱い、確信のある1つから順に確定させて選択肢を減らすほうが、1問ずつ考えるより速く解けます。見るべき場所は、空欄の後ろに残っている述語です。文末が「〜からである」なのか「〜と考えられている」なのかで、前半に来るべき形はほとんど決まります。まず自分で解いてから、「解答・解説を見る」を開いて答え合わせをしましょう。

ここで紹介する例題は、SPIの実際の問題ではなく、典型的な出題パターンを再現したオリジナル例題です。同じ空欄補充でも、接続語を1語だけ選ぶタイプは「SPI長文読解の練習問題」で扱っています。

例題① 結果を導く前半:原因はどれか

例題①〜③は、A〜Eの選択肢群を共有する1セットです。3問を通して同じA〜Eから1つずつ選び、同じ選択肢は一度しか使いません。

A〜Eの中から、空欄に入れて最もつながりの良いものを1つ選びなさい。

[   ]、薄くても簡単には破れない丈夫な紙になる。

A コウゾやミツマタの繊維は長くて絡み合いやすいため B 和紙は繊維のすき間に細かな空気を含んでおり C 障子紙に古くから和紙が使われてきたのは D 正倉院に伝わる千年以上前の文書が今も読めるのは E 手すきの和紙は一枚ごとに厚みや風合いが少しずつ違うので

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答え:A

  1. 空欄の後ろの述語を確認します。「丈夫な紙になる」は結果を述べる言い方なので、前半にはその原因が必要です。
  2. 後ろに文を続けられる形かどうかで足切りします。「ため」のA、「ので」のE、連用中止の「〜ており」のBは続けられます。CとDは「のは」で終わっており、後ろに「〜からである」を要求する形なので、この文末とはつながりません。
  3. 残ったA・B・Eのうち、丈夫さの理由になるものを選びます。繊維が長くて絡み合うことは、そのまま紙の強さの説明になります。これがAです。

Bの空気を含むという性質は軽さや保温性の話で、破れにくさとは別の性質です。Eの一枚ごとの違いは品質のばらつきの話で、強さの理由になりません。似た話題の選択肢でも、後ろの述語が求めている性質と一致するかどうかで切り分けます。

例題② 理由を答える前半:文末が形を指定する

[   ]、光をやわらかく通しながら室内の湿り気を調整できるからである。

A コウゾやミツマタの繊維は長くて絡み合いやすいため B 和紙は繊維のすき間に細かな空気を含んでおり C 障子紙に古くから和紙が使われてきたのは D 正倉院に伝わる千年以上前の文書が今も読めるのは E 手すきの和紙は一枚ごとに厚みや風合いが少しずつ違うので

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答え:C

  1. 文末が「からである」で終わっています。この形は、前半が「〜のは」という主題提示になっていることを要求します。
  2. 「のは」で終わる選択肢はCとDの2つだけです。この時点で候補が2つに絞れました。
  3. どちらの主題が、光を通すことと湿り気の調整で説明できるかを見ます。障子は部屋を仕切りながら明かりを取り込む建具なので、光の通り方と湿度の調整はそのまま使われ続けた理由になります。したがってCです。

Dの「千年以上前の文書が今も読める」ことの理由は、紙そのものの保存性の高さであって、光の通し方ではありません。三文完成では、内容を読む前に文末どうしの相性だけで候補を半分以下にできる場面がよくあります。

例題③ 一般と個別:残り物を検算する

[   ]、機械ですいた紙にはない味わいが生まれる。

A コウゾやミツマタの繊維は長くて絡み合いやすいため B 和紙は繊維のすき間に細かな空気を含んでおり C 障子紙に古くから和紙が使われてきたのは D 正倉院に伝わる千年以上前の文書が今も読めるのは E 手すきの和紙は一枚ごとに厚みや風合いが少しずつ違うので

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答え:E

  1. 後ろの述語は「味わいが生まれる」です。しかも「機械ですいた紙にはない」と対比されているので、前半は手すきに限定した話でなければなりません。
  2. 主語を見ます。Bは「和紙は」で、機械ですいた和紙まで含んでしまうため対比が成り立ちません。Eは「手すきの和紙は」と限定しており、一枚ごとの厚みや風合いの違いが、そのまま機械すきにはない味わいの正体になります。
  3. 例題①でAを、例題②でCを使い切っているので、残りはB・D・Eの3つでした。Dは「のは」で終わる形なので「生まれる」につながらず、Bは今見たとおり対比を作れません。

ここでのポイントは、Eを正面から選べなくても答えが出せることです。5つのうち2つはすでに確定済みで、残る3つのうち1つは文末の形だけで落ちる。消去法だけで実質2択まで縮んでいたわけです。三文完成は、確信のある1問を先に片づけるほど、あとの2問が軽くなります。

例題④ 根拠と推論:断定を避ける文末

例題④と⑤は、新しいA〜Eを共有する別のセットです。本番では1セットが3つの文で構成されますが、ここでは文末の形の使い分けがはっきり出る2問を取り上げます。ここでも同じ選択肢は一度しか使いません。

[   ]、生まれつき経路の情報が備わっていると考えられている。

A 渡り鳥が夜でも方角を見失わないのは B 地磁気の傾きは場所によって少しずつ変わるため C 長い距離を移動する鳥ほど翼は細長い形をしており D 若い鳥が初めての渡りでも目的地にたどり着くことから E 渡りの途中で休む場所が失われると

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答え:D

  1. 文末は「と考えられている」です。これは断定ではなく推論を述べる形なので、前半にはその推論を支える根拠が入ります。
  2. 根拠を示す形は「〜ことから」です。この形を持つのはDだけで、実質ここで確定します。
  3. 内容も合っています。経験のない若い個体が目的地にたどり着けるという観察は、経路の情報が学習ではなく生まれつきのものだという推論の根拠になります。

Aは「のは」なので「〜からである」を待つ形で、この文末とは接続しません。Eの「失われると」は条件を示す形なので、後ろには結果が来るはずで、推論の根拠にはなりません。文末が推論なら前半は根拠、という対応を覚えておくと迷いません。

例題⑤ 仕組みの説明:性質が結論を支える

[   ]、鳥は自分が今どのあたりにいるかを知る手がかりを得られる。

A 渡り鳥が夜でも方角を見失わないのは B 地磁気の傾きは場所によって少しずつ変わるため C 長い距離を移動する鳥ほど翼は細長い形をしており D 若い鳥が初めての渡りでも目的地にたどり着くことから E 渡りの途中で休む場所が失われると

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答え:B

  1. 後ろの述語は「今どのあたりにいるかを知る手がかりを得られる」です。位置を知る仕組みが問われているので、前半には場所によって変化する何かが必要です。
  2. 場所によって変わるものに触れているのはBだけです。傾きが場所ごとに違うなら、その違いは位置の目印として働きます。
  3. 例題④でDを使い切り、Aは「のは」で終わる形なので接続しません。残る候補はB・C・Eの3つで、ここから先は形では絞れないので内容で決めます。Cの翼の形は飛び方の話で位置とは無関係、Eは休息地が失われたときの悪影響の話で、手がかりを得るという結論とは向きが逆です。

引っかけの正体は、Cのように鳥の話題としては自然に見えるのに、空欄の後ろが求めている性質だけがずれている選択肢です。形で落とせるところまでは形で落とし、そこから先だけ内容を吟味する、という順番を守ると迷いが減ります。

もっと解きたくなったら

三文完成は、空欄の後ろの述語が原因・理由・根拠・条件のどれを求めているかを見て、それに合う形の選択肢だけを候補に残すのが基本です。手をつける順番は、文末の形が一番はっきりしている文からにしましょう。「〜からである」や「〜と考えられている」で終わる文は、対応する形の選択肢が1つか2つしかないことが多く、そこから確定させれば残りの文の候補が自動的に減ります。言語分野全体の進め方は「SPIの言語(国語)対策」にまとめています。

アプリ「AIナビスタ」なら、三文完成の典型パターンをセット単位で繰り返し演習できます。なぜ他の選択肢が違うのか迷ったときは、その場でAIに質問して納得してから次へ進めます。